診療所と病院。病院は一般用語として医療機関の代名詞として頻繁に使われます。
なぜならば、保険証でどこの医療機関にも受診できるためでしょう。
しかし、診療所という名前はほぼ使われていません。
そのためもしかしたら、診療所の意味さえも分からない人もいるかもしれません。
診療所も病院も医療機関です。
診療所は巷のクリニックや医院と考えていただければよいと思います。
要は入院施設の無い小さな医療機関。
厳密には入院施設のある診療所に区分される医療機関もあります。
法律上、入院出来るベッド数が20床未満の医療機関を診療所と区分けしているのです。
20床を超える医療機関が病院です。
ですから、〇〇クリニック、〇〇医院でも入院出来る診療所もあるのです。
しかしながら、経営を考えると現在入院施設の有る診療所はほぼ無いと言えます。
大きな病院の方が、腕が良いお医者さんが居る、高度な検査機器等の医療機器があるのでしっかりと診断される等と思いついつい近所の病院より大学病院等の大きな病院へ出向く人も少なくありません。
しかし、国は街の診療所を先にかかる「かかりつけ医制度」を推進しています。
大きな病院は、重篤な患者さんの医療・治療を行うことが使命だからですね。
ここで一般的なかぜのような軽い症状等で大きな病院にかかってしまうと、本当に高度な医療を必要とする患者さんへの治療が後回しになってしまうことにもなりかねません。
誰もが経験しているかもしれませんが、町の大きな病院の患者さんの数が多く、診察まで1時間、2時間かかることがあるのはこれが理由です。
そこで初診は街の診療所でかかってもらい、重篤な病気に繋がると判断されれば、大きな病院や専門病院へ紹介するシステムを構築することが医療機関の適格化であると考えてられています。
その街の診療所でもどこか決まった診療所にかかり、本当の意味でかかりつけ医の先生を見つけ自分自身の病歴や健康状態を把握してもらうことで、大きな病気等を発症した場合、今までの病歴や健康状態を紹介先の大きな病院の先生へ正確に伝えることが出来るのです。
具体的な例を出すと、初診で診療所などの医師からの紹介状等(診療情報提供書)を持たずにいきなり大きな病院に行くと、通常の一部負担金プラス特別料金がかかります。
初診時に5,000円以上、再診時に2,500円以上の徴収が義務化されています。
その対象となる医療機関は厳密に言うと、ベッド数が400床以上の特定機能病院と地域医療支援病院等。
その他に、そのような病院の充実した施設は様々な保険の加算対象となるため、それ以外でも少し全体的な負担金が高くなる場合もあります。
ベッド数が200床以上の病院でも義務ではありませんが特別療養選定費として、一部負担金以外に徴収する病院もあります。
このように、診療所と病院で明確な位置づけが決まっておりこのようなことを知らない人が多いかと思います。
これから貴重な社会資源である医療をみんなが円滑に享受でき、無駄な支出も抑えるために様々な病院の役割を知っておくとよいですね。
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本稿では患者の目線からお話しましたが、医療機関の人材不足が問題となっている今、挑戦してみるのはいかがでしょうか!
この記事を執筆・編集したのはTERADA医療福祉カレッジ編集部
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