コラム

催眠と心理学

2022.3.11
  • 瞑想
  • 催眠療法

 

 

催眠について、興味・関心を持つ人は多いのではないでしょうか。
今回は催眠について、科学的根拠に基づいて解説していきたいと思います。 

  

【催眠療法の効果、科学的な根拠はあるのか!?】

  

催眠は心理学・精神医学の分野で研究・実践が進められています。
特に催眠療法として、心理カウンセリングにおいても活用されています。
催眠療法には科学的根拠があり、研究も進められています。

 

たとえば、日本には「日本催眠医学心理学会」という学術団体があります。
この学術団体は1963年に設立され、既に50年以上の歴史があります。
そして、研究発表の場として、学術大会の開催や学術論文誌「催眠学研究」の発刊などが行われています。
最新の研究発表については、2022年2月に立命館大学が主催校となって、オンラインで第67回大会が開催されています。 

  

【気になる催眠術師と、催眠療法家の違いは?】

  

催眠と聞くと、まず頭に浮かぶのは「催眠術」や「催眠術師」ではないでしょうか。
では、催眠術師と医師や心理カウンセラーの中の催眠療法家は、どのように違うのでしょうか。 

 

端的に言えば、催眠術師には特に資格が必要なわけではないのですが、催眠療法家には明確な資格が存在しています。
前述の日本催眠医学心理学会が認定している資格として「認定催眠士」という資格があります。 

 

この資格を取得するためには、以下のような基準を満たしていなければなりません。 

  

  1. 日本催眠医学心理学会の正会員として3年以上経過していること
  2. 大学・大学院において、医学や心理学などの分野で、学士号もしくは、 修士号・博士号を取得していること
  3. 催眠に関する正式な研究実績が複数あること
  4. 催眠に関する正式な研修を複数受講修了していること
  5. より上位の資格である指導催眠士2名の推薦を受けていること
  6. 筆記試験と面接試験に合格すること 

 

これらの厳しい基準を全てクリアしなければ、催眠の専門家としての資格は取得できないのです。 


そのため、現在、日本には認定催眠士とその上位資格である指導催眠士の資格を有している専門家は30名程度しかおらず、難関資格であるといえるのではないでしょうか。 

 

その分、これらの資格を有する方々は、医療やメンタルヘルスの現場で催眠を人々の健康の回復・維持に活躍するプロフェッショナルなのです。 

  

【催眠のかかりやすい人と、かかりにくい人っているの?】

 

 

催眠とは、現実感覚が薄れ、理性的思考が緩み、想像の世界の中に入り、想像自体が現実味を帯びるような意識状態のことを指します。 

 

そして、この催眠状態にするためには、暗示を利用することが多いです。
つまり、暗示にかかりやすいかどうかが、催眠の「かかりやすさ」に強く影響するということになります。
 

暗示へのかかりやすさは、暗示を実施する人(認定催眠士などの専門家)との間の信頼関係の構築なども重要です。 

また、暗示をかけられる側の人も、リラックスしつつ、意識を集中することができるかどうかが重要となると考えられています。 

  

催眠療法の概要

 催眠療法とは、現実感覚が薄れ、理性的思考が緩み、想像の世界の中に入り、想像自体が現実味を帯びるような意識状態に患者(クライエント)を導き、精神状態の治療・支援をするというものです。
代表的な手法として、暗示催眠療法・リラックス催眠療法・イメージ催眠療法などがあります。
いずれの手法も、催眠状態における体験・経験を通じて、そこからメタファーや象徴を解釈することにより、治療・支援へとつなげていくという共通点があります。
 

  

瞑想と心理学の関わり

催眠と似た現象として、瞑想というものがあります。
瞑想とは元々、座禅の「禅」という用語に「瞑想する」という意味があり、仏教に期限があります。 

 

座禅は仏教の修行法の1つですが、調身・調息・調心からなる実践方法が具体的に規定されており、身体を通して心を調える心身のセルフ・コントロール法として、古くから研究されていました。 

座禅の調身・調息・調心の状態は、副交感神経を優位にし、リラックスした状態を作り出すことができ、ストレス軽減やメンタルヘルスの向上・維持することができることが判明しています。 

 

 

さらに、座禅のカウンセリング・メンタルヘルスへの応用的活用の1つとして、マインドフルネスが注目を集めています。 

 

マインドフルネスとは、感情や思考、身体感覚、症状など「いま、ここで」体験している事柄について、感情や思考に巻き込まれることなく、それを体験していることに注意を持続させ続けることを指します。
マインドフルネスでは、瞑想や座禅、呼吸法などを組み合わせて実施することが多いです。
 

 

 

 

さて、今回は催眠について取り上げましたが、いかがだったでしょうか。 

催眠そのものは、研究・実践ともに非常に経験豊かな一部の専門家のみが適切に実施できるものです。

 

 

認定催眠士や指導催眠士は、基礎心理学・応用心理学・臨床心理学の基本的な内容を全て学び、豊富な知識を有している方々ばかりです。
その上で特に催眠について専門にするという段階を経ているわけです。

 

催眠や催眠療法に興味・関心を持たれた方は、まずはこころ検定3級・4級で基礎心理学を学び、こころ検定1級・2級で心理カウンセリングの基礎を学んでいただければと思います。 

 

 

★催眠に関する過去の記事はこちら

著者・編集者プロフィール

この記事を執筆・編集したのはTERADA医療福祉カレッジ編集部

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