心理学・カウンセリング・メンタルケアの専門家には、5月生まれの著名な先生方がいます。
ジェームズ・キャッテルは初期の心理学研究に多大な貢献をしています。
ジェームズ・キャッテルは1860年5月25日生まれのアメリカの心理学者です。
キャッテルはアメリカ初の心理学の大学教授であり、ケンブリッジ大学・ペンシルベニア大学を経て、コロンビア大学・心理学科長を務めています。
また、科学雑誌や出版物の編集者や出版者、特に現在でも発行され続けている『サイエンス』誌の編集者として長く活動したことでも有名です。
キャッテルはアメリカのペンシルバニア州の非常に裕福な家庭で生まれました。
優秀であったキャッテルは、16歳でラファイエット大学に入学し、4年後に主席で卒業しています。
そして、ラファイエット大学の修士課程を主席で修了し、修士号を授与されています。
キャッテルは後に心理学の専門家となっていますが、ラファイエット大学ではイギリス文学を専攻し、数学に関しても学んでいました。
修士号取得した後、キャッテルはドイツに留学し、ライプツィヒ大学でヴィルヘルム・ヴントに出会います。
また、ゲッティンゲン大学でヘルマン・ロッツェに指導を受け、ジョンズ・ホプキンス大学のフェローシップを得てたことで、ドイツを離れアメリカに戻ります。
しかし、フェローシップが短期間で終了していしまったため、再びドイツに行き、ヴントの助手としてライプツィヒ大学に勤務します。
キャッテルはヴントと知能に関する共同研究を行い、ヴントの指導の下で、心理学の分野で論文を公開した最初のアメリカ人となりました。
その後、1886年にヴントの下で博士号を取得し、キャッテルはイギリスのケンブリッジ大学で講師を務めています。
1889年にアメリカに戻ったキャッテルは、ペンシルバニア大学の心理学教授に就任し、1891年にはコロンビア大学に移り、心理学・人類学・哲学の学科長に就任、さらには1895年にはアメリカ心理学会の会長に就任しています。
キャッテルは初期の頃から、化学や物理学などと同じように心理学は研究する価値のある分野として確立するために様々な努力をしています。
また、キャッテルは、当時はまだ正当な科学として確立されていなかった心理学を、学術として研究の価値があるものとして科学分野の中で心理学の地位を確立させました。
キャッテルはそのような草創期の心理学における研究者として、個人差・反応時間・連想時間・読書時間・誤差の法則・メンタルテストなどの多様な分野で研究を実施しています。
キャッテルが従事した研究の中で、特に有名なのがメンタルテストに関する研究です。
メンタルテストは、感覚・反応時間・記憶・移動速度などの様々な内容を測定対象とする一連のテストです。
当初、キャッテルはメンタルテストの得点は知能指数を表すものとして考えていた。
しかし、後に大学の学業成績とメンタルテストの得点の間に統計的な相関関係がないことが判明しました。
そのため、メンタルテストはその後の知能検査の開発の流れとは異なる位置づけとなっています。
また、キャッテルは心理学を含む様々な科学分野の学術誌を多数、手掛けたことでも有名です。
1894年に『サイコロジカル・レビュー』を創刊したのを皮切りに、『サイエンス』を買収してアメリカ科学振興協会の公式出版物にするなどの活躍をしています。
1900年には『月刊ポピュラーサイエンス』を買収(後に売却)、さらには、よりアカデミックな『サイエンティフィック・マンスリー』を創刊しています。
キャッテルは、『サイエンス』誌の編集者を約50年も務めています。
その間、キャッテルは心理学の実証的研究について雑誌で目立つように取り上げることで、科学としての心理学の確立に貢献しています。
★ヴィルヘルム・ヴントの紹介記事はこちら
この記事を執筆・編集したのはTERADA医療福祉カレッジ編集部
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