2017年8月にメンタルケア学術学会の年次大会が開催されました。
メンタルケア学術学会とは、メンタルケア心理士・メンタルケア心理専門士の心理カウンセラー資格取得者を中心とした学術学会です。
近年は、主に8月に国士舘大学で年次大会を開催しています。
メンタルケア学術学会は心理カウンセラーの学術団体ですが、資格取得の際のカリキュラムには心理カウンセリングにおいて非常に重要な学習心理学・認知心理学・生理心理学・社会心理学・発達心理学・パーソナリティ心理学の基礎六領域が含まれています。
基礎心理学をしっかりと学び、その上で、臨床心理学・カウンセリングについて習得することで、カウンセリングの現場でも臨機応変な対応が可能となるのです。
メンタルケア学術学会の年次大会では、このように基礎と臨床をバランスよく学んだ心理カウンセラー資格取得者に向けたスキルアップ研修を実施するとともに、大学教授等の先生方による講演や研究発表が実施されています。
2017年度は「QOLにおけるメンタルヘルスの重要性」というテーマで、QOL(Quality Of Life)に影響を及ぼす薬剤の服用・投与、運動、食と摂食障害についての講演が行われる予定です。
また、分科会として、統合的心理療法の基礎知識と実践研修、メンタルケアを実践する上で必要な薬学の基礎知識、生理心理学、WISCによるアセスメント演習、発達心理学、音楽の心理療法への活用、社会福祉分野などの研修が実施されました。また、近年開催された年次大会の内容も非常に充実しています。
昨年の2016年度は「ネット社会におけるメンタルケアの役割」をテーマとして、ネット社会におけるメンタルケアの役割、メールカウンセリングのこれまで、ネット社会におけるメンタルケアの展望と求められる人材像について講演が行われました。
また、全体研修として、ブリーフセラピーの基礎研修と実践演習が実施されました。
そして、分科会としては、本年度に実施されるもの同様の内容のものも実施され、それとは別に復職支援、来談者中心療法のロールプレイなどが行われました。
2015年度は「ヘルスケアにおけるメンタルケアの可能性」をテーマとして、社会福祉の視点、ヘルスケア機器とメンタルケアとの融合の可能性、ウェアラブルモニターによる視覚的・客観的な心理アセスメントについての講演が行われました。
また、全体研修として、家族療法の基礎研修、ブリーフセラピーの実践的手法・技法の演習が行われ、分科会では例年の内容と別に箱庭療法、インテークからアセスメントの流れの記録及び導入法、産業場面における従業員支援のケーススタディなどが実施されました。
2014年度は「コミュニティ(地域)の中でのメンタルケアの可能性と必要性」をテーマとして、地域振興の光と影、社会福祉に関わるメンタルケアとコミュニティ、コミュニティ心理学の基本的概念と背景、コミュニティ心理学の観点から医療・教育現場の活動の課題と今後の展望などの講演が行われました。
また、全体研修として、認知行動療法の基礎理論およびマインドフルネス、認知行動療法の実践演習が実施されました。
分科会では、通年の内容とは別に、子育て支援、田中ビネー知能検査法の演習、指示・非指示のカウンセリング、心理アセスメント発達検査法、心理療法を応用したクライアントのパフォーマンス能力の向上、手紙を用いたペットロスの心理ケア・ワークショップなどが実施されました。
これら、様々な講演・研修は基礎心理学の知識と臨床心理学の知見と技能を身に付けた上で参加することで、心理カウンセラーとして能力を大きく向上させるものとなります。
そして、他の学術学会の年次大会と同様に、研究発表の場でもあります。
心理カウンセラーは「心理学者」であるということが重要なので、研究発表をすることは、心理カウンセラーとしての業績や実績において、とても大切であるといえるでしょう。
メンタルケア学術学会は一般の方々が中心の学会ですが、今後、さらに盛況な研究発表が期待されています。
この記事を執筆・編集したのはTERADA医療福祉カレッジ編集部
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