2017年9月に日本心理学会の年次大会が開催されました。
日本心理学会は今年で81年目を迎える、日本の心理学関連の学術団体としては最古参の部類に入る学術団体です。
昨年、第80回の記念大会では国際心理学会議(ICP)との共同開催を実施し、全世界の心理学・カウンセリング・メンタルヘルスの専門家が日本に集合しました。
日本心理学会の最大の特徴は基礎・応用・臨床など、あらゆる心理学の分野の総合的な研究発表の場であるということです。
毎年、講演・ワークショップ・ポスター発表などが1000件以上実施されています。
ポスター発表は分野別に実施されますが、その分野区分は全部で20にもおよびます。
20分野の内訳として、
があります。
原理・方法とは、心理学史などを含む分野であり、根源的な原理について、および新たな研究の手法に関する分野です。
人格はパーソナリティ心理学に関するものであり、性格に関する研究や新たな性格検査尺度の開発などが対象となります。
社会・文化は社会心理学と文化心理学に関するものであり、集団・社会・文化に関する研究や、日本と諸外国の国際比較などが対象となります。
臨床・障害は臨床心理学に関するものであり、心理カウンセリングや心理アセスメントについての研究発表が実施されています。
犯罪・非行は主に犯罪心理学や矯正心理学に関する分野であり、各都道府県の県警、警察庁、科学捜査研究所、科学警察研究所などに所属する研究者による発表や、少年院・鑑別所などに所属する研究者による発表が実施されています。
数理・統計は数理心理学や心理統計学に関する分野であり、何らかの研究成果の発表というよりも、新たな数理モデルの構築や新たな統計分析手法の確立などの発表が実施されます。
生理は生理心理学に関する分野であり、睡眠や眼球運動などに関する研究発表が実施されています。
感覚・知覚では、視覚・聴覚・嗅覚・味覚の5感に関する研究の分野です。
認知は認知心理学に関する研究分野であり、判断・評価などの認知機能に関する研究成果の発表が実施されています。
学習とは、学習心理学に関する研究分野であり、動物や人間などに関する刺激と反応の関係性について、様々な研究発表が実施されています。
記憶は認知心理学の中でも特に記憶に関する研究分野に関するものです。
なぜ、認知の中から記憶だけが別になっているかというと、例年、記憶に関する研究発表が非常に多いということと、単に覚える・忘れるという機能だけではなく、ワーキングメモリーによる情報処理も記憶の分野に含まれることなどが関係しています。
言語・思考は言語心理学や認知心理学の中でも特に思考に関する研究分野です。
情動・動機づけは、感情心理学とモチベーションなどの動機づけに関する研究分野です。
行動は学習心理学と似た分野ではありますが、行動分析学に基づく、より広範かつ、より具体的な「行動」を扱うものとなっています。
発達は発達心理学に関する分野であり、乳幼児期から老年期にいたるまでの各発達段階についての研究発表が実施されています。また、臨床・障害にも含まれますが、神経発達症(発達障害)や特別支援などに関する研究も含まれます。
教育は教育心理学に関する分野であり、学校教育だけではなく、いじめや、進路相談なども含まれます。
産業・交通は産業・組織心理学と交通心理学に関する分野です。企業などにおける職場環境や対人関係などに関する研究や、自動車や電車などの各種交通手段に関する心理的な要素の研究などが発表されています。
スポーツ・健康は、スポーツ心理学や健康心理学に関する研究の分野であり、各種運動、スポーツの心理学的研究と病気・疾患ではなく健康に関する心理学的研究に関するものが含まれます。
ジェンダーは男女差に関する研究の分野であり、主に女性の視点から社会・文化などを心理学的に研究するなどが含まれます。
環境とは、環境心理学に関するものであり、自然環境だけではなく都市設計などが含まれます。
この記事を執筆・編集したのはTERADA医療福祉カレッジ編集部
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