コラム

7月生まれの心理学・カウンセリング・メンタルヘルスの専門家 part2

2018.7.30 心理
  • 生理心理学
  • 心理カウンセラー

心理学・カウンセリング・メンタルケアの専門家には、7月生まれの著名な先生方がいます。

 

 

▶ドナルド・ヘッブ

ドナルド・ヘッブは1904年7月22日生まれのカナダの心理学者です。

 

ヘッブはダルフージー大学卒業を卒業した後、まずは学校の先生になりました。
教師として働く中で、最終的には校長先生にもなりました。

 

しかし、心理学に興味があったヘッブは教師として働きながらマッギル大学の大学院生となります。
仕事と学業を両立させる努力を続けたヘッブは大学院の修士課程を終えて博士課程に進学し、ハーバード大学で博士号を取得しました。
ハッブの主な著書に『行動の機構』(1949)と『行動学入門』(1958)があり、名著として語り継がれています。

 

ヘッブは生理心理学が専門であり、特に脳や身体の中で実際に起こっている可能性があるもの以外は説明理論として認めないという立場から、卓越した理論的考察をしました。
『行動の機構』や『行動学入門』という著書も脳や身体という観点から心理学的に人間の行動について述べています。

 

ヘッブは「行動とは公共的に観察可能な筋ないし外分泌腺の活動である」と定義しています。
つまり、行動とは筋肉(筋繊維)の微細な動きや、神経伝達物質やホルモンの分泌であるということです。
そして、これらの生理心理学的な研究から、ヘッブの法則を提唱するに至ります。

 

ヘッブの法則とは、学習や記憶が生じるためには、脳内の神経細胞のシナプスの可塑性がなければならないとするものです。
具体的には、シナプスの連合強度(伝達関数)が、送り手と受け手の神経細胞の両方が同時に興奮した場合に高められるというものです。

 

これによって、学習心理学(行動分析学)における古典的条件づけのメカニズムを生理心理学的・神経科学的・脳科学的に説明することができるとしています。
いわゆる、パブロフの古典的条件づけは、犬にベル(条件刺激)を鳴らすと同時に餌(無条件刺激)を与えた場合、唾液(無条件反応)が出ます。

 

この際、犬の脳・神経は送り手の神経細胞も受け手の神経細胞も同時に興奮することになります。
この2つの神経細胞の“同時興奮”が元々は関係性や影響力を持たなかった神経細胞を変化させ、シナプスの連合強度を増加させるわけです。
その結果、目で見て観察可能な行動として、犬はベルに反応して唾液が出るようになるということになります。
ヘッブの法則はこのように行動を生理心理学的に説明するものであり、また、記憶に関する生理学的研究に関する様々な示唆を与えるものとなっています。

 

▶セオドア・ニューカム

セオドア・ニューカムは1903年7月24日生まれのアメリカの社会心理学者です。
偶然ではありますが、ニューカムも前述のヘッブと同様に大学卒業後はまず学校の先生として働いていました。

 

ニューカムは父親が牧師であったことから、自身も神学校で学び聖職者を目指していましたが、心理学への興味からコロンビア大学で心理学の勉強をスタートさせます。
1929年にコロンビア大学で博士号を取得後、ベニントン大学を経て、ミシガン大学で教授を務めます。

 

そして、アメリカ心理学会(APA)の会長やアメリカ科学アカデミー会員などを歴任しています。
ニューカムは1935年から1939年にかけて、当時女子大学だったベニントン・カレッジで、大学生活を通して生じる学生たちの態度や信条の変化について研究しました。

 

この研究は通称「ベニントン・カレッジ調査」とよばれており、青年期後期の社会的・政治的信条の発達における準拠集団(大学・サークルなど)の重要性に焦点を当てた研究でした。

 

この調査はある程度の時間をかけて何度も繰り返し質問する大規模なインタビュー調査の最初期のものであるとされています。
当初、「ベニントン・カレッジ調査」の研究結果は互いに好感を持っている人々の間では、接触の機会が増え、関心のあるテーマについて意見が一致していくだろうというものでした。

 

しかし、後に研究データを再分析した結果、知り合って関係が深まる過程で起こる大きな変化は、相手の立場についての理解の正確さの増大であって、意見の一致やバランスが増大したのではないのではないかとされています。

 

 

著者・編集者プロフィール

この記事を執筆・編集したのはTERADA医療福祉カレッジ編集部

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