心理学では、主に社会心理学や産業・組織心理学において、広告の効果などが研究対象となっています。では、そもそも広告とは学術的にはどのようなものなのでしょうか。
広告は明示された広告主による有料媒体を利用した商品・サービスの販売促進のための情報伝達活動と定義されています。
広告には、ミクロな機能としての消費行動機能(消費者の商品・サービスの利用促進)がありますが、その他に経営的機能(企業の営業活動の支援)や経済的機能(社会的生産活動の活性化)、社会文化機能(流行・文化への影響)などのマクロ機能があります。
広告は人間のコミュニケーション活動の一種であるため、心理学とも密接な関係があります。
心理学者のマクガイアが提唱するコミュニケーション研究の枠組にそって、送り手・受け手・メッセージ・メディアなどの刺激側要因と、広告効果の反応側要因の関係によって以下のように整理して考えることができます。
広告主は商品メッセージに対して「情報源効果」の役割を持ち、広告主の信憑性は広告効果にプラスの説得効果をもたらす。
また広告主のもつ固有のイメージは、広告商品に特定のイメージを付与するという社会心理学におけるバランス理論の考え方が適用される。
受け手の商品に対する関与度の高低が、広告効果を左右することが知られている。
高関与の受け手は、広告情報に注目しやすく、広告に含まれる商品情報を詳細に検討するので、論理的な説得が可能である。
一方で、低関与の受け手は広告に対して消極的な接触態度を持つので、頻繁な広告呈示が必要となる。
また、このような受け手は広告情報の中の商品とは直接関連の薄いタレント(その商品のCMに出ている・テレビでその商品を愛用している)や音楽などによって影響を受け易いとされている。
広告作品に対する認知やメッセージの説得効果については、知覚心理学・認知心理学・社会心理学の態度変容研究などの研究成果が応用されている。
広告媒体のもう1つの側面は、情報呈示のスケジュール(媒体計画)である。
学習心理学・認知心理学の知見に基づき、最も効率的な広告呈示方法が研究されている。
また、過剰な広告呈示がもたらす心的飽和と反発の逆効果について関心が向けられている。
到達効果は、広告がどの範囲の消費者に何回到達したかが、広告媒体の評価基準として利用されている。
心理的効果はアイドマの法則に代表されるような広告が消費者の商品認知・理解・好意・意図などをどの程度増加させたかを測定し、広告表現の評価および広告キャンペーンの成果の管理指標に用いられる。
購買効果は広告および他の販促手段・商品力・流通力などの総合的結果であるが、広告の貢献度を単独に分析できるような実験計画的な調査が工夫されている。
このように、広告は様々な心理学分野で多角的に研究されています。広告のような社会的なコミュニケーションについては、主に社会心理学で検討されています。
これは、こころ検定4級の第5章で概観していますので、興味・関心のある方は、是非、勉強してみていただければと思います。
この記事を執筆・編集したのはTERADA医療福祉カレッジ編集部
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