日常生活において「態度が悪い」や「態度が変わった」などのように、態度という言葉はよく使われるかと思います。
では、心理学において、態度とはどのように定義されているのでしょうか。
態度に関する研究は主に社会心理学の分野で行われています。
社会心理学者のオルポートは、態度を構成するものとして、心的構え・行動の準備状態・心理的基礎・永続性・学習された性質・評価的性質などがあり「態度とは、関連する全ての対象や状況に対する個人の反応に対して直接的かつ力動的な影響を及ぼすような経験に基づいて体系化された精神的および神経的準備状態のこと」と定義しています。
この定義から、態度とは私たち人間の社会的行動の決定に対して大きな影響を及ぼす要因の1つであると考えられます。
態度に関する代表的な理論は2つあります。
学習心理学者のハルが提唱した行動理論を態度研究に応用したドゥーブは、態度とは、社会的に重要な事柄についてのある特定の刺激と動因(動機づけ)と結びついた行動(反応)との強化という文脈から態度というものを捉えました。
動因(動機づけ)に値する行動(反応)とは、具体的に「良い – 悪い」という評価や「好意的 – 非好意的」な感情であるとされています。
このような学習心理学の立場からの態度研究として、古典的条件づけによる態度形成や、オペラント条件づけによる態度形成などの研究が実施されています。
また、認知心理学の立場からも態度に関する理論が構築されています。
クレッチとクラッチフィールドは、個人が環境内の対象に関して獲得した知識に基づいて、その内部に形成される象徴的あるいは概念的な認知的体制を信念とよびました。
そして、信念は、一旦形成されると個人内環境の独自な構成要素となり、その個人の知覚や行動を方向づけるものとして機能するようになると述べました。
態度は、この信念のうち「良い – 悪い」「好意的 – 非好意的」などの評価的あるいは情動的側面が中心となるものと考えられています。
他にも認知心理学における態度研究として、バランス理論や認知的不協和理論などが関係しています。
さらに、自己知覚理論、数理モデル理論、接種理論、精緻化見込みモデル理論などがあります。
態度は社会的なものであるため、私たちの日常生活の様々な場面と関連があります。
たとえば、モノやサービスを購入する消費行動や、選挙などの投票行動などです。
個人が商品やサービスに対して、どのような態度を持っているのかが、何を買うのか(買わないのか)を決定する要因になります。
選挙でどの候補者に投票するのかも、その候補者に対してどのような態度を持っているのかによって決定するわけです。
そして、個人の態度を測定・評価することができれば、事前に個人がどのような行動を取ろうとしているのかを予測することができます。
これは誰かを説得する際にも重要であり、個人がどのような態度を持っているのかを知ることができれば、どのように説得すればよいのかも分かるわけです。
態度を測定・評価することを態度測定とよびますが、これ自体が1つの独立した研究領域となっています。
態度とは、後天的に獲得され、認知的に体制化されてある程度安定したものであるため、態度を測定・評価することで「その人はどんな人なのか?」ということを知ることができます。
態度測定の方法には、生理心理学的なアプローチとして、脳波・皮膚電気活動・筋電位などの測定、心理検査としての質問紙法的なアプローチ、精神分析的なアプローチとしての投影法による測定などがあります。
態度に関する研究領域である社会心理学については、こころ検定4級の第5章で概観していますので、興味・関心のある方は、是非、勉強してみていただければと思います。
この記事を執筆・編集したのはTERADA医療福祉カレッジ編集部
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