キャリア・カウンセリングとは、どのようなものなのでしょうか。
心理学・カウンセリング・メンタルヘルスと関連する分野として、キャリア・カウンセリングというものがあります。
そもそも、キャリアとは「過去から将来の長期にわたる職務経験やこれに伴う計画的な能力開発の連鎖」と定義されます。
日本語に訳せば「職業生涯」や「職務経歴」となります。
また、キャリア・カウンセリングは、別名としてキャリア・コンサルティングという名称が使われることもあります。
キャリア・カウンセリング(キャリア・コンサルティング)とは、労働者の職業の選択、職業生活設計又は職業能力の開発及び向上に関する相談に応じ、アドバイス・指導を実施するというものです。
キャリア・カウンセリングは企業・事業所で勤務している従業員がよりレベルの高い仕事をするためにキャリアを模索する際に、そのサポートをするためのものです。
しかし、従業員の多くが「具体的にどうすればいいのか?」が分からない状態であることが多いです。
これはメンタル面の何らかの問題を抱えているクライエントが「具体的にどうすれば問題が改善するのか?」が分からない状態で心理カウンセリングを受けに来るのと同様であると考えることができます。
また、キャリア・カウンセリングには、明確な3つの相談区分が存在しています。
1つ目は前述のような既に仕事に従事している中で、さらにキャリアを模索している方々に向けたものです。
そして、2つ目は現在、求職中の方々に向けたものです。
そのため、キャリア・カウンセリングを担当するキャリア・カウンセラーはハローワークなどで仕事をすることがあります。
さらに3つ目として、高校生・大学生などのような「人生で最初の正規雇用のための就職活動」を実施している方々に向けたものです。
そのため、大学の就職課にはキャリア・カウンセラーが在籍しているケースもあります。
キャリア・カウンセリングは上記のような方々に向け、科学的理論と実証的研究をベースにしながら、人間のキャリア行動を解明しながら、実践的なキャリア支援をしていくというものです。
キャリア・カウンセリングは、一般的な臨床心理学・心理カウンセリング・心理アセスメントや発達心理学、産業・組織心理学などの知見・技術も必要なものとなっています。
キャリア・カウンセリングは1950年代以降に生涯にわたる人間のキャリアを考えていくというキャリア・ディベロップメントの概念が確立していく過程で誕生しています。
また、心理学者のパーソンズが20世紀初頭に提唱した職業選択理論における特性 = 因子論の考え方も、キャリア・カウンセリングに大きな影響を与えています。
この理論は個人の特性と職業の所要条件を「マッチング」させていくというものであり、これが発展する形でパーソナリティと環境の類型に基づくホランドの六角形モデルが提唱されています。
ホランドの六角形モデルは、職業選択はパーソナリティ表現の1種と定義し、職業に対する興味はパーソナリティ特性を反映されるとしています。
また、職業的ステレオタイプが重要であるとし、同職の人間のパーソナリティ特性は似ており、同職者は似た反応を示し、似た対人関係を構築するとしています。
そして、職業満足度等はパーソナリティと環境の一致度によって決まるとされています。
ホランドは個人のパーソナリティ特性が職業興味や職業適性と強く関係し、同時に特定の職業・職種に適したパーソナリティ特性があると述べ、パーソナリティ特性を①現実型 ②研究型 ③芸術型 ④社会型 ⑤企業型 ⑥慣習型の6つのタイプに分かれるとしています。
各タイプは以下のような特徴があり、それぞれ“向いている職業・業種”が挙げられています。
このように、キャリア・カウンセリングは産業・組織心理学などの基礎・応用心理学と心理カウンセリングの発展とともに研究・実践が進んできた分野なのです。
この記事を執筆・編集したのはTERADA医療福祉カレッジ編集部
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