日本に様々なメンタルヘルスに関する機関や施設があります。
メンタルヘルスに関する機関や施設というと、病院やカウンセリングルームが最初に思い浮かぶかと思います。これ以外にも、実は様々な機関・施設が日本には存在しています。
日本には児童相談所という機関・施設があります。
そもそも、児童相談とは、児童および養育者を対象に行われる相談業務の総称です。
日本では、都道府県と指定都市に設置された児童相談所において、児童の保護・養育・長期欠席・不就学・パーソナリティ傾向の測定や評価・適性確認・しつけ・保健・心身の障害への対応・非行への対応など多岐にわたります。
そして、各問題に対して、心理カウンセラー・児童福祉司・相談員・児童指導員・医師などが対応するという形式がとられています。
日本における児童相談所は、児童福祉法第12条に基づいて、各都道府県に設置されており、2006年4月から政令指定都市だけでなく中核都市にも設置が可能となっています。
心理カウンセラー資格取得者が児童相談所に専門家として勤務しているというケースも多いです。
ただ、児童相談所との関りはそれだけではなく心理カウンセリングにおける守秘義務とその例外においても関連があります。
心理カウンセラーに職業倫理に根差した守秘義務があります。
これは、心理カウンセリング中に知り得たクライエントの個人情報について、基本的に第三者へ開示してはならないというものです。
心理カウンセリングに よって、クライエントのパーソナリティ特性や現在の精神状態などが明らかになりますが、これは機密レベルの高い個人情報であり、漏洩することがあってはならないものです。
ただし、守秘義務には例外が存在し、クライエントの個人情報を第三者に開示する場合があります。
大前提とし、この例外はクライエント本人の意向や健康、生命を尊重するためのものです。
そして、心理カウンセラーにおける守秘義務の例外の1つに虐待の可能性が疑われた場合があります。
これはクライエント本人が虐待の被害者である場合も加害者である場合も、どちらの場合も想定したものです。
クライエントの健康・生命に問題が発生する可能性がある(もしくは既に発生している)ということが心理カウンセリングによって判明した場合、その問題に適切な対処を講じる必要があります。同様にクライエントが他者の健康・ 生命に損害を与える(もしくは既に与えている)場合、その損害を未然に防ぐか、損害の拡大を防ぐ必要があります。
児童相談所との関りでいえば、心理カウンセラーには後者のケース、クライエントが虐待の加害者である可能性が認められた場合に対応を求められることになります。
児童虐待防止法・第6条1項において、児童虐待を受けたと思われる児童を発見した者は、速やかに警察、市町村、福祉事務所または児童相談所のいずれかに通告しなければならないと定められています。
未成年者、なおかつ3歳や4歳などの小さな子どもが自らの意思で精神科や心療内科、カウンセリング・ルームを訪れるという可能性はほぼないと考えられます。
しかし、養育者がクライエントとして来所した場合に、子どもの虐待を仄めかすようなケースもあります。
その場合「心理カウンセラーだから」ではなく「国民の義務として定められた法律に則って」通告の義務があるのです。
一般の方が日常生活を送る中で、このようなケースに遭遇することは稀であると思われますが、心理カウンセラーは虐待という社会問題と接する可能性も高いため、児童相談所との繋がりは深いものとなっています。
一般の方々が虐待という問題と接するケースはそう多くはないと思われます。
しかし、虐待の件数自体は増加傾向にあり、子育てに起因する大きな問題となっています。
また、虐待は発見することが難しいケースも多いため、認知されている虐待の件数よりも、実際の件数が多い可能性もあります。
虐待は家庭内の問題という形でクローズの環境で「見えない」状態になってしまうことも多いです。そのため、家庭外の第三者による通告が非常に重要になってくるわけです。
そこで、2015年7月1日より、電話番号の189番(語呂合わせ:いちはやく)が児童相談所の全国共通ダイヤル(緊急通報用電話番号)に設定されました。
これは、24時間365日、児童虐待や子育ての相談の窓口となっています。
そして、2019年12月3日より通話料無料となっており、より虐待の発見・通告をしやすい環境整備が進められています。
この記事を執筆・編集したのはTERADA医療福祉カレッジ編集部
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