建国記念日と心理学にはどのような関係があるのでしょうか。
日本には365日の全てに何らかの「記念日」が制定されています。
2月11日は「建国記念の日」に制定されています。これは、1966年の「祝日法」改正により「建国をしのび、国を愛する心を養う」ことを趣旨とし、国民の祝日として制定されたものです。
2月11日は古事記や日本書紀で初代天皇とされる神武天皇が即位した日に由来しています。
では、建国記念の日と心理学にはどのような関係があるのでしょうか。
基本的に心理学は海外、特にヨーロッパやアメリカを期限としてスタートしているものであり、日本はそれらの知見を「輸入」するという立場にあります。
しかし、なかには日本由来の心理学・カウンセリング・メンタルヘルスに関する研究・実践があります。
本コラムでは「日本発」や「日本初」の心理学・カウンセリング・メンタルヘルスについて、解説していきたいと思います。
日本人として最初の心理学者は元良勇次郎先生です。
元良先生は兵庫県生まれで、若いころにアメリカに渡り、ジョンズ・ホプキンズ大学で心理学者のホールから指導を受けています。
元良先生は1888年に博士号を取得し、同年、東京帝国大学(現在の東京大学)で初めて精神物理学の講義を実施しました。
また、1890年には、東京帝国大学の初代心理学教授となりました。
元良先生は現在の日本の心理学界(心理学ワールド)を創設したという意味で、多大なる貢献をしているのです。
現在では、多くの女性が心理学界(心理学ワールド)で活躍されていますが、日本人初の女性の心理学者は原口鶴子先生です。
原口先生は大正時代に活躍した日本の心理学者です。
原口先生は日本で初めて博士号(Ph. D.) を取得した日本人女性として有名です。
群馬県出身の原口先生(旧姓:新井つる)は子どものころから非常に優秀であり、2年飛び級して高校に進学し、さらに1903年に日本女子大学・英文学科に入学します。
しかし、当時はまだ女性が大学で男性と同様の高等教育を受けることが難しかったため、師である心理学者の松本亦太郎先生(元良勇次郎先生の弟子)の推薦もあり、1907年にアメリカのコロンビア大学に留学・入学します。
そこで、原口は実験心理学を専攻し、ソーンダイクやキャッテルなどの名立たる心理学者たちから指導を受けています。
コロンビア大学での研究活動が実を結び、原口は1912年6月5日に博士号の学位を取得しています。
その後、日本に帰国した原口は精力的に研究活動を続け、海外の論文や専門書の日本語訳や日本女子大学での講義などを実施しています。また、日本女子大学に心理学実験室を設立する際にも貢献しています。
日本人の心理学者が研究を実施して、その結果、構築された理論は多く存在します。
その中でも有名なものが、産業・組織心理学におけるPM理論です。
PM理論とは、日本の社会心理学者である三隅二不二先生が提唱したリーダーシップに関する理論です。
PMの「P」とは「Performance」の頭文字であり、「M」は「Maintenance」の頭文字を表しています。
PM理論は組織や集団の持つ機能という視点から、リーダーシップについて検討し、リーダーシップの類型化を行っています。
集団機能とは、集団・組織における課題の解決や目標達成、そして、集団・組織を存続・維持させることという大きく2つの側面で構成されています。
このうち、集団・組織の課題解決や目標達成の機能をPerformance Function(P機能)とよび、集団・組織の存続や維持に関する機能をMaintenance Function(M機能)とよびます。三隅先生はこの集団機能の概念を、リーダーシップを説明する枠組として理論化したのです。
集団・組織において、最も集団機能の役割を果たしているのはリーダーであり、そこにリーダーシップを集団機能の概念で説明する根拠が存在すると考えたのです。
このように、「日本発」や「日本初」の心理学者や心理学の理論などがあり、それが現在の日本の心理学界(心理学ワールド)の発展にも貢献しているのです。
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