建国記念日と心理学にはどのような関係があるのでしょうか。
日本には365日の全てに何らかの「記念日」が制定されています。
2月11日は「建国記念の日」に制定されています。これは、1966年の「祝日法」改正により「建国をしのび、国を愛する心を養う」ことを趣旨とし、国民の祝日として制定されたものです。
2月11日は古事記や日本書紀で初代天皇とされる神武天皇が即位した日に由来しています。
では、建国記念の日と心理学にはどのような関係があるのでしょうか。
基本的に心理学は海外、特にヨーロッパやアメリカを期限としてスタートしているものであり、日本はそれらの知見を「輸入」するという立場にあります。
しかし、なかには日本由来の心理学・カウンセリング・メンタルヘルスに関する研究・実践があります。本コラムでは引き続き「日本発」や「日本初」の心理学・カウンセリング・メンタルヘルスについて、解説していきたいと思います。
味覚には塩味・甘味・酸味・苦味・うま味という5種類があり、これらは基本味とよばれます。
これらの基本味ごとに別々の味覚受容体が存在し、各受容体の変化の程度によって飲食物の味が決定されると考えられています。
なお、辛味は味細胞よって受容されるのではなく、舌にある粘膜内の神経線維が痛みを感じることで発生する痛覚の一種であり、味覚とは明確に区別されます。
実は、5種類の味のうち、うま味は日本人が発見・提唱したものです。
うま味は東京帝国大学(現在の東京大学)の池田菊苗先生が、1908年にだし昆布の中に含まれる物質から発見したもので、最初に発見されたうま味物質はグルタミン酸という物質でした。
日本では料理に出汁を使うことが多く、実は日常生活の中にうま味が溢れているという環境がありました。
そのため、日本では塩味や酸味とは別に、日常生活でうま味が料理に足りているか、いないかを敏感に感じることができるという特徴がありました。
これが、日本の学者が世界に先駆けて、うま味物質を発見するきっかけとなったのです。
当初、これらのうま味の発見について、海外では疑いの目でみられることも多かったです。なぜなら、日本と異なり、海外の料理にはうま味という概念がなく、塩味や酸味の変化形としか考えられていなかったからです。
しかし、2000年に舌の味蕾という部分の細胞にグルタミン酸受容体が発見されたことで、うま味の実在が世界的で広く認知されるようになりました。
1970年代に精神分析の専門家である土居健郎先生が日本人の精神構造や社会文化構造を理解するための重要なキーワードとして「甘え」という概念について述べてから「甘え」は心理学の分野において学術的な用語として定着しました。
そして、土居先生が「甘え」についての専門書を出版し、それが英訳されたことで、「甘え」という用語は世界的に有名になりました。
つまり、それまでは欧米の人々にとっては「甘え」という言葉の意味があまり理解されていなかったのです。
というよりも、欧米の文化において「甘え」という概念自体がなかったということなのです。
甘えとは「他者に愛され他者の庇護のもとに自由に振る舞いたいという欲求や感情」と定義されますが、この感覚は日本人には多く認められるものの、欧米人にはあまりピンとこない感覚なのです。
「甘え」を発達心理学の観点から考えると、養育者(主に母親)から分離したはずの乳児が、なおも養育者に依存したがる傾向であるとされています。
「甘え」は養育者との心理的なつながりを形成するためには必須のものであり、健康な精神発達には欠かせないものです。
従って、子どもが「甘え」という感覚を持っていること自体は何の問題もありません。
また、欧米人でも、子どもであれば「甘え」の感覚を持っていることは自然なことなのです。
しかし、日本では成人後も「甘え」の感覚が強く、養育者という限定された対象から、広く他者全般への依存願望として確立されていると考えられています。
そして、他者に「甘えたい」という欲求が満たされないことで、恨みやひがみなどのネガティブな感情が発生するとされています。
このように、基礎心理学の分野において、日本発の心理学的な研究成果が世界でも通用するものとして現在でも活用されています。
この記事を執筆・編集したのはTERADA医療福祉カレッジ編集部
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