子どもと心理学には、どのような概念なのでしょうか。
【目次】
日本には365日の全てに何らかの「記念日」が制定されています。5月5日は「子どもの日」に制定されています。これは、子どもの人格を重んじ、子どもの幸福を図る共に母に感謝するということ趣旨とした国民の祝日の1つです。また、毎年、ゴールデンウィークを構成する祝日の1ともなっており、また、ゴールデンウィークの最終日ともなっています。
子どもの日は1948年の7月20日に公布・即日施行された「国民の祝日に関する法律」(祝日法)によって国民の祝日として制定されました。5月5日は古来より、端午の節句として知られており、男子の健やかな成長を願う行事が行われていました。そのため、1946年から1949年の3年間は、男の子の節句ということで「ボーイ・デー」とよばれていた時期もありました。例年、5月5日は東京の上野動物園や井の頭自然文化園、国営昭和記念公園、日本科学未来館、葛西臨海水族園などの施設において、中学生以下の子どもの入園料が無料となるなどの、子どもの日にちなんだサービスも展開されています。では、子どもと心理学にはどのような関係があるのでしょうか。
心理学には発達心理学という分野があります。発達心理学とは、主に精神の発達を対象として、時間経過に従って生じる変化に関する特徴や法則性、変化を推し進める要因について検討する心理学の分野です。発達とは、子どもが生まれ、大人になる過程での変化を指します。発達心理学はアメリカの心理学者であるホールが19世紀末に児童心理学として創設し、それまで、あまり理解されていなかった児童の権利を擁護しようという運動と合わさりながら発展していきました。つまり、発達心理学のスタートは子どもに関する心理学的研究からであり、子どもの権利擁護という観点も含み、社会的にも重要なきっかけとなったものなのです。
前述の通り、心理学における精神発達の研究は子どもを対象とした児童心理学からスタートしたという経緯があります。では、この児童心理学とは、どのような学問分野なのでしょうか。まず、発達心理学における児童期とは6~12歳の子どもであり、日本においては、ちょうど小学校入学から卒業くらいまでの時期です。児童心理学の目的は特にこの6~12歳の児童期の心理学的特性を明らかにすることにあります。
児童心理学の歴史として、その最初の研究者に心理学者のプライヤーがいます。プライヤーはヨーロッパの心理学者であり、1882年に「児童の精神」という専門書を執筆し、子どもの成長の観察記録を科学的にまとめました。一方で、アメリカでは心理学者のホールが多数の調査対象のデータから一般的傾向を求める研究方法を確立させ、それを児童心理学にも活用しました。ホールは児童期の子どもだけでなく、学校の先生やや親なども研究の対象としながら、様々な研究を進めていきました。これが児童研究運動の先駆けとなり、1893年に児童研究協会(National Association for Child Study)が結成されることとなりました。これが前述したホールによる児童心理学という学問分野の確立へと繋がっていたわけです。
学問の話題からは少し離れますが、児童心理学の成立において、子どもの権利擁護という観点が重要となっていました。これは現在の日本においても踏襲されており、児童福祉法や児童相談所などがあります。児童福祉法は児童の福祉を担当する公的機関の組織や各種施設および事業に関する基本原則を定め法律であり、社会福祉六法の1つに位置づけられています。児童相談所とは、児童福祉法第12条に基づいて、各都道府県に設置されており、2006年4月から政令指定都市だけでなく中核都市にも設置が可能となっています。心理カウンセラー資格取得者が児童相談所に専門家として勤務しているというケースも多いです。
このように、心理学では、子どもの心を研究しつつ、その研究成果を子どもを守るという方向性にも活用しているのです。
発達心理学については、こころ検定3級の第1章で概観していますので、興味・関心のある方は、是非、勉強してみていただければと思います。
この記事を執筆・編集したのはTERADA医療福祉カレッジ編集部
「つぶやきコラム」は、医療・福祉・心理学・メンタルケアの通信教育スクール「TERADA医療福祉カレッジ」が運営するメディアです。
医療・福祉・心理学・メンタルケア・メンタルヘルスに興味がある、調べたいことがある、学んでみたい人のために、学びを考えるうえで役立つ情報をお届けしています。