レオン・フェスティンガーは1919年5月8日生まれのアメリカの心理学者です。
フェスティンガーはニューヨーク生まれで、1939年にニューヨーク市立大学・シティカレッジ卒業を卒業しています。
その後、アイオワ州立大学にて、社会心理学の父とよばれ、場の理論などで有名なクルト・レヴィンの下で学び、1942年に博士号を取得しています。
そして、1945年に師であるレヴィンとともにマサチューセッツ工科大学に新設されたグループ・ダイナミックス研究所に移籍しました。
その後、ミネソタ大学やスタンフォード大学、ミシガン大学、新社会研究学院などの教授を歴任しています。
フェスティンガー自身の回顧録によると、1945年に指導教官や大学からの命を受けて社会心理学者となるものの、1964年には自発的に社会心理学の領域から離れています。
フェスティンガーの研究の基本的なスタンスとして、様々な問題を対立物の相互作用として捉えるというものです。
また、フェスティンガーは心理学における現象や理論について、数学的・測定論的な厳密さを求めることにはあまり賛同しておらず、ある程度の曖昧さを許容する方が生産的であると考えていました。
フェスティンガーは心理学における2つの有名な理論を提唱したという功績があります。
1つは、社会的比較理論です。
これは、人間には環境を理解し、環境に対し有効な働きかけを行うために必要な基本的動因として、自己評価への動因があるという考え方です。
私たちは、正確で安定した自己評価を得るために、自己と能力や意見が類似した他者との比較を絶えず実施しています。
社会的比較とは、自己と他者を比較し、自己を正確に評価したり、意見の妥当性を確認したりすることであり、私たちが自分でも気づかないうちに実施していることなのです。
正確な自己評価を得ることで、私たちは効果的な社会行動が可能になります。
比較対象となる他者は、より有用な情報の提供者となり、個人の自己評価に影響を与えてくれることになります。
ただし、社会的比較には、正確な自己評価を求めるだけでなく、自己をより好ましく捉えたいとする自己高揚動機も作用するとされています。
そのため、自己にとって好ましい比較は積極的になされるものの、そうではない比較は回避されることになります。
もう1つは、認知的不協和理論です。
私たちは不協和を心理的に不快であると捉えるため、その不協和を低減したり回避しようと試みます。
不協和の大きさは、不協和な認知要素が重要であるほど大きいものとなります。
また、特定の認知要素と連合する不協和の大きさは、関連する認知に占める不協和な認知の割合が高いほど大きいと考えられます。
フェスティンガーは不協和が発生しやすい状況として、(1)決定後 (2)強制的承諾 (3)情報への偶発的・無意図的接触 (4)社会的不一致 (5)現実と信念・感情との食い違い という5つの具体例を示しています。
これらの不協和の低減方法として、
(1)不協和な関係にある認知要素の一方を変化し相互に協和的関係にする
(2)不協和な認知要素の過小評価と協和的な認知要素の過大評価する
(3)新しい協和的認知要素の追加する
という3通りの方法があるとしています。
さらに、フェスティンガーは、人間は新たな不協和の発生や既存の不協和の増加をもたらす状況や情報を積極的に回避すると仮定しており、不協和低減の具体的現れ方には、
(1)認知の再体制化・態度変化
(2)行動の変化
(3)環境の変化
(4)知覚と認知の歪曲
(5)人物・状況・情報への選択的接触
などがあるとしています。
認知的不協和理論は社会心理学全体に大きな影響を及ぼしており、さらには、心理学だけではなく、経済学・政治学などの他の学問分野の研究でも応用されています。
この記事を執筆・編集したのはTERADA医療福祉カレッジ編集部 「つぶやきコラム」は、医療・福祉・心理学・メンタルケアの通信教育スクール「TERADA医療福祉カレッジ」が運営するメディアです。 医療・福祉・心理学・メンタルケア・メンタルヘルスに興味がある、調べたいことがある、学んでみたい人のために、学びを考えるうえで役立つ情報をお届けしています。