国際障害者デーと心理学には、どのような関係があるのでしょうか
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日本では365日の全てに何らかの記念日が制定されています。12月3日は国際障害者デーに制定されています。これは、1992年11月の第47回国連総会で制定された国際デーの1つであり、英語表記は「International Day of Persons with Disabilities」となります。1982年の12月3日に「障害者に関する世界行動計画」が第37回国連総会で採択されました。これを受ける形で障害者問題への理解促進、障害者が人間らしい生活を送る権利とその補助の確保が目的として制定されたのが、国際障害者デーです。
ちなみに、日本では12月9日を「障害者の日」としていました。これは1975年に「障害者の権利宣言」が国連総会で採択されたのが12月9日だったからです。その後、2004年に「国際障害者デー」の12月3日から「障害者の日」の12月9日までの一週間を「障害者週間」となりました。「障害者週間」は、12月9日の「障害者の日」に代わるものであり、国民の間に広く障害者の福祉についての関心と理解を深めるとともに、障害者が社会、経済、文化その他あらゆる分野の活動に積極的に参加する意欲を高めることを目的としています。
では、国際障害者デーと心理学には、どのような関係があるのでしょうか。
精神障害に関する法律が日本には多数、存在しています。これは、心理学・精神医学の研究成果等を社会に反映させる形で、精神障害への理解や平等なチャンスをもたらすためのものであると考えることできます。精神障害に関する法律には様々なものがありますが、比較的、最近、成立・改正されたものとして、発達障害者支援法があります。発達障害者支援法は2004年に施行された法律です。この法律では、発達障害を自閉スペクトラム症・注意欠如多動症(AD/HD)・限局性学習症・その他これに類する脳機能の障害を含むものとしており、さらには、こういった精神疾患の症状が通常低年齢において発現するものであると定義しています。この法律によって、日本では初めて公的に発達障害を抱えている方々を障害者と認定することとなり、社会保障・社会福祉を受けることができる体制が出来上がったということです。
また、発達障害者支援法では、発達障害の早期発見・発達支援を実施する国や地方公共団体の責務の明確化・発達障害者の自立と社会参加のための支援を主な目的として掲げています。その後、発達障害者支援法は2016年に改正されました。発達障害者支援法の一部が改正されました。主な改正内容としては、発達障害者の支援を社会的障壁の除去とするという新たな定義の追加、赤ちゃんから高齢者まで切れ目のない支援をすること、教育・福祉・医療・労働などの様々な分野との緊密な連携の構築、司法手続きにおける意思疎通の手段を確保、国・地方自治体における就労の定着支援、教育現場における個別支援計画の策定、指導計画の作成を推進、発達障害者支援センターの増設、都道府県・政令市の関係機関による協議会を設置などです。
発達障害者支援法においても障害を持つ方々の就労についての記述があります。こういった就労についても法律が定められており、精神障害に関する部分では障害者雇用促進法が2018年に改正されたことも非常に大きな出来事であると考えられます。そもそも、障害者雇用促進法とは、企業等に身体障害者・知的障害者・精神障害者を一定比率以上、雇用すべき義務を負わせ、雇用率達成企業と未達成企業間の経済的負担を調整し、雇用給付金制度を設けるということを基本としています。また、企業等に障害者への差別的取扱いを禁止し、合理的な配慮の提供を義務づけています。この障害者雇用促進法が2018年に改正され、ここで初めて、発達障害も雇用の義務付けの範囲に含まれるようになりました。また、障害者の法定雇用算定率の引き上げも合わせて実施されています。さらには、募集・採用・雇用後における障害を理由とする不当な差別的取扱いが禁止となり、不利な条件・低い賃金・昇給させない・雇用形態の変更の強制などが禁止とされました。
今回、コラムで紹介した法律や制度はごく一部ではありますが、日本では精神障害者の支援のための様々な法律が存在し、定期的な改定によって、さらに当事者の方々や関連するご家族の方々などの支援を進めているのです。
この記事を執筆・編集したのはTERADA医療福祉カレッジ編集部
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