発達心理学の知見は私たちの生活に密着したものであり、発達心理学について学ぶことで、専門家ではない人でも、日々の生活にその知識を役立てることができます。
発達心理学に関する書籍は山のように存在しています。
これらは非常に難しい専門書から、入門書レベルのもの、さらには非常にライトな内容なものまで様々です。
そこで、発達心理学に関する良書を選ぶ方法として、次の2つがあります。
1つ目は著者が誰なのかということです。
発達心理学の専門家は、基本的に大学・大学院で心理学を専攻しており、その中で特に発達心理学を専門にしている方が多いです。
そこで、書籍に掲載されている著者略歴を確認することで、良書を見極めることができるかと思います。
また、特に発達心理学に関する専門的な資格である「臨床発達心理士」の資格を取得されている方が著者となっていることも良書を見極める際のポイントとなるでしょう。
2つ目は、発達心理学の中でも特にどの発達段階に興味・関心があるのかという点です。
発達心理学は幼児期から超高齢期まで、つまり、0歳~85歳以上までの幅広い年齢における人間の精神発達について研究しています。
そして、書籍も幅広く全てを扱っているものもありますが、各発達段階でそれぞれ専門書が存在しています。
そこで、自分が特に興味・関心のある発達段階を1つ選び、それについて書かれている専門書を選ぶことで、より詳細な内容について知ることができるでしょう。
発達心理学に限らず、全ての学問分野に関して、研究論文というものがあります。
論文にも様々なものがありますが、基本的には査読という形で審査が行われており、この審査を通過したものだけが学術雑誌に掲載されることになります。
心理学に関する研究論文は、基本的に問題(序論)・目的・方法・結果・考察・引用文献の順番で書かれています。
そのため、非常に専門的であり、難しい用語も多いですが、必ず同じ順序になっているので、何度かチャレンジして読んでいくと、すぐに読み慣れることができるかと思います。
論文はどこで読めるかですが、日本で発行された研究論文は、国が運営する学術ポータルサイトで約500万件以上が公開されています。
これは、J-STAGE(https://www.jstage.jst.go.jp/browse/-char/ja)とよばれるサイトであり、誰でも閲覧・ダウンロード・印刷できる論文が無数にあります。
キーワード検索で簡単に論文を探すことができるので、是非、活用してみてはいかがでしょうか。
発達心理学は前述のように、各発達段階で研究がそれぞれ進められています。
本コラムでは、特にその中でも幼児期・児童期・青年期・成人期について、具体的に解説したいと思います。
幼児期とは、1歳~6歳頃までの時期を指します。
1~2歳頃になると鏡に映った自分の像を自分だと理解したり、自分の名前と友だちの名前を区別するようになるなど、自己の身体像の確立や自他の分化が生じるようになります。
3歳頃には,自分の性別を意識するなど、自己と他者を区別し比較するようになり、自分の主張や要求のとおし方は強烈かつ巧妙になってきます。
4歳頃になると、他者が自分をどのように見ているかに非常に敏感になってきます。
5~6歳頃には、自律的な自己調整力が働くようになり、課題に対して持続的に取り組むとともに、自分の達成したことと他者が達成したことを比較することで競争心が芽生えるようになります。
児童期とは、7歳~12歳ころの時期を指します。
日本においては、小学校入学から卒業くらいまでの間が該当します。
この時期で重要となるのは、同じ年齢の友人関係です。
小学校での友人関係から、コミュニケーションや対人関係について学んでいきます。
また、その過程で、いじめなどの問題が発生するのも児童期の特徴の一つでもあります。
青年期とは、12歳ころから30歳ころまでの、非常に長い期間を指します。
青年期は国や文化、社会、時代背景などの要因の影響を受けます。
そのため、現在の日本では、20歳はまだ学生である人も多く、就職していない、親元で暮らしているという人も多いという状態だと考えられます。
また、30歳の段階で結婚・出産をしている人が9割以上ということはないと考えられます。
このように、青年期は「今がどんな時代なのか?」や「どんな社会や文化の中で生活しているのか?」を如実に反映したものになります。
成人期とは、30歳から60歳くらいまでの時期を指します。
この時期は結婚・出産・育児・仕事など、社会の中で「大人」として生活をしていくことになります。
そして、親から独立していくことで、自分自身が新たな家族の中心となっていく時期でもあります。
では、ここまで紹介してきた発達心理学に関する復習クイズを出してみたいと思います。
Q. 児童期とは〇歳~△歳までの時期を指す(〇と△に当てはまる数字を答える)。
A. 児童期とは7歳~12歳までの時期を指す(小学校入学から卒業くらいまでの時期)。
いかがだったでしょうか?
冒頭でも解説した通り、発達心理学は「自分とは異なる年齢・世代の人々と円滑にコミュニケーションをとるための知識」を与えてくれるものなのです。
そのため、子を持つ親として、また、孫と接する祖父母として、さらには学校現場や介護福祉の現場で仕事をする際にも、役立つ知識が豊富なのが発達心理学なのです。
そして、発達心理学については、こころ検定3級の第1章で概観していますので、興味・関心のある方は、是非、勉強してみていただければと思います。
この記事を執筆・編集したのはTERADA医療福祉カレッジ編集部
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