心理学・カウンセリング・メンタルケアの専門家には、4月生まれの著名な先生方がいます。
ユリー・ブロンフェンブレンナーは、1917年4月29日生まれのロシア(モスクワ)の心理学者です。
ブロンフェンブレンナーは、1938年にコーネル大学で学士の資格を得た後、ハーヴァード大学で心理学の修士号、1942年にミシガン大学で発達心理学の博士号を取得しました。
博士号取得後には、コーネル大学の人間発達および家族研究学部の終身教授にも就任しています。
ブロンフェンブレンナーは、発達を子どもの実生活の中で捉えようとしました。
ブロンフェンブレンナーの考え方は生態学的発達理論とよばれており、1979年の『人間発達の生態学』や1982年の『子どもの発達』『社会的文脈のなかの発達』などの著作で体系化されています。
生態学的発達理論では、子どもを取り巻く環境を母子関係のようなシステムから社会・文化との相互作用まで、マイクロシステム・メゾシステム・エクソシステム・マクロシステムとして階層的に捉えるとしています。
マックス・ヴェルトハイマーは、1880年4月15日チェコ(プラハ)に生まれの心理学者です。
ヴュルツブルク大学で学位を取得したヴェルトハイマーは、1910年よりフランクフルト大学、1918年よりベルリン大学、1929年から1933年までフランクフルト大学の教授を務めました。
1933年には当時のナチス政権を逃れるために、ヨーロッパからアメリカに拠点を移し、ニューヨークの新社会研究学院の教授となりました。
ヴェルトハイマーの功績として最も有名なのは、ゲシュタルト心理学を創始したことです。
ゲシュタルト心理学とは、人間の心は部分・部分の要素で構成されているのではなく、分けることができないような、まとまりのある構造であるとするものです(ゲシュタルトとは、ドイツ語で「形態や姿」という意味です)。
ヴェルトハイマーが実験によって明らかにした仮現運動により、人間の視覚はゲシュタルト的に「部分・部分の合体」としてではなく「分けることができない、まとまり」として捉えていることが分かりました。
同様にルビンのつぼなどの錯視図形で図と地という概念やプレグナンツの傾向なども明らかとなり、私たちがどのように「世界」を捉えているのかが明らかとなったのです。
その後、ゲシュタルト心理学は人間の知覚だけではなく、様々な領域・機能へとその概念を拡大させていきました。
代表的なものとして、記憶・思考・要求・行動・集団特性などがあります。
このように、ゲシュタルト心理学の影響は幅広く認められるのですが、あまりにも広く普及してしまったため、誤解も多いとされています。
心理学者のカニッツァはゲシュタルト心理学に対する以下のような9つの誤解を挙げています。
(1)ゲシュタルト心理学は基本的には知覚心理学である。
(知覚も代表的な分野であるが、より広い分野と関係がある)
(2)還元主義である。
(何らかの仲介変数の基礎に生理学的な事実を考慮に入れているわけではない)
(3)生得説である。
(先天的(生まれつき)のものというわけではない)
(4)分析を拒否する。
(分析することが可能である)
(5)生気論である。
(生命体の構成に関する理論である生気論と全く同じ立場ではない)
(6)知覚における動機の要因の影響を否定する。
(知覚には、動機づけが影響を及ぼす)
(7)過去経験の影響を否定する。
(生得的ではないが、対象者の過去の経験は何らかの影響を及ぼすものである)
(8)規則性を対称性と等しいと見なしている。
(知覚における規則性と対称性は異なるものであると考える)
(9)問題解決が洞察によると考える。
(人間や動物の問題解決行動は、必ずしも洞察だけによって成立するわけではない)
現在でも大学の心理学科・心理学部では、心理学概論や知覚心理学などの講義でゲシュタルト心理学は必ず取り上げられるものであり、心理学史に燦然と輝くものとなっています。
この記事を執筆・編集したのはTERADA医療福祉カレッジ編集部
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