※初めに、5月に「4月生まれの心理学・カウンセリング・メンタルへルスの専門家 Part4」の公開となり読者の皆様には公開が遅れて申し訳ありません。
グスタフ・フェヒナーは1801年4月19日生まれのドイツの物理学者・哲学者・心理学者です。
フェヒナーは1817年でドイツのカール・グスタフ・カルス医学アカデミーで医学を学び、翌年の1818年からはライプツィヒ大学に移籍します。
1834年にライプツィヒ大学の物理学科の教授に任命され、翌年の1835年には博士号を取得しています。
しかし、1839年に、目の病気の影響でそれまで行っていた色と視覚の現象に関する研究に支障が生じたことから、大学教授の仕事を辞職します。
その後、目の病気から回復した後、人間の心と身体の関係の研究へと転向し、本格的な心理学の研究をスタートさせます。
そのきっかけとなったのは、フェヒナーがベッドに横たわっている際、精神的な感覚と物理的な感覚との関係について、ある種のひらめきがあったことだとされています。
フェヒナーは外界には様々な情報(刺激)が存在しており、人間はそれを感覚を通じて受容することに注目しました。
そして、刺激の物理量とそれに対応する感覚量との関係が、人間の行動の基礎として非常に重要であると考えたのです。
フェヒナーは心と身体の関係を、精神と物理の関係として数学的に表現しました。
これは精神物理学とよばれるものであり、フェヒナーはその創始者の1人です。
そして、もう1人がエルンスト・ウェーバーです。
ウェーバーもフェヒナーと同様にドイツのライプツィヒ大学で教授を務めており、先に精神物理学に関する研究をスタートさせていました。
ウェーバーは人間には、視覚・聴覚・嗅覚・味覚・触覚のそれぞれに、外部からの刺激の変化を知覚できる最小単位が存在していると仮定しました。
これは丁度可知差異(弁別閾)とよばれています。
ウェーバーは科学的な実験によって様々な知覚の丁度可知差異について検討しています。
たとえば、重さに関する知覚は触覚の一種であり、錘を掌に載せて実験することができるため、ウェーバーも丁度可知差異の実験として行っています。
その結果、重さの知覚に関しては、人間は2.5%が変化を感知できる丁度可知差異であることが明らかになりました。
つまり、錘が40gの場合、掌に乗せる錘の重さが1g増加すると「重くなった」と知覚することができます。
これは丁度可知差異は%なので、200gの場合は5g増加しないと「重くなった」と知覚できないということになります。
このように、知覚ごとに変化を感知できるパーセンテージが異なることをウェーバーの法則とよびます。
また、ウェーバーが行った錘を使った実験は重量弁別とよばれ、大学の心理学科の実験演習で、現在でも実施されています。
加えて、フェヒナーが重量弁別などの際に用いた手法が心理学の実験の基本的なアプローチを確立させることにも貢献しています。
これは精神物理学的測定法とよばれ、代表的なものとして調整法・極限法・恒常法などがあり、現在でも実施されることがあります。
精神物理学には、まずウェーバーの法則があり、これがフェヒナーの研究にも大きな影響を及ぼしています。
フェヒナーはウェーバーの法則を前提としてさらに実験を重ね、基本的に感覚の強さと刺激の強さの間には数学的な対数関係があるというウェーバー – フェヒナーの法則を提唱しました(※ただし、現在では、ウェーバーの法則もウェーバー – フェヒナーの法則も、刺激強度の限定された範囲内でしか成立しないことが判明しています)。
フェヒナーによる精神物理学の研究は、科学的な学問領域として誕生しつつある心理学の発展に大きく貢献しています。
現在、私たちがこころ検定や大学の授業などで学んでいる知覚心理学や認知心理学、生理心理学の基礎は、精神物理学から派生したものが多いのです。
この記事を執筆・編集したのはTERADA医療福祉カレッジ編集部
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