コラム

成人の日と心理学の関係

2025.1.14 心理
  • メンタルケア心理専門士(R)
  • 発達心理学
  • こころ検定1級
  • 心理

成人の日と心理学には、どのような関係があるのでしょうか

 

【目次】

  1. 1.1月第2月曜日は「成人の日」
  2. 2.発達心理学からみる成人について
  3. 3.青年期の心理学的な研究について
  4. 4.まとめ

 

1.1月第2月曜日は「成人の日」

日本では365日の全てに何らかの記念日が制定されています。1月の第2月曜日は「成人の日」に制定されています。これは、国民の祝日の1つであり、1948年に公布された祝日法で定められたものです。成人の日は大人になったことを自覚し、自ら生き抜こうとする青年を祝い、励ますことを主な目的としています。なお、1999年までは成人の日は毎年1月15日となっていました。しかし、ハッピーマンデー制度導入に伴い、翌年の2000年から1月の第2月曜日という現在の日程に変更となりました。

 

元々の日程である1月15日は小正月とよばれる日であり、奈良時代以降の日本で成人を示すものとして行われる儀式である元服の儀が行われていました。それを受けて、当初は1月15日が成人の日となっていたわけです。では、成人の日と心理学には、どのような関係があるのでしょうか。

 

では、110番と心理学には、どのような関係があるのでしょうか。

 

2.発達心理学からみる成人について

日本では、成人が20歳から18歳へと引き下げられましたが、発達心理学の観点からは、この18~20歳という年齢は青年期に該当するものです。青年期とは、12歳ころから30歳ころまでの、非常に長い期間を指します。青年期は、青年期前期(12~15歳ころ)、青年期中期(15~18歳ころ)、青年期後期(18~20歳ころ)、後青年期(20~30歳ころ)というように細かく区分されることもあります。従って、青年期の中期から青年期後期が「成人」の段階であるといえます。青年期は国や文化、社会、時代背景などの要因の影響を受けます。そのため、現在の日本では18歳や20歳はまだ学生である人も多く、就職していない、親元で暮らしているという人も多いという状態だと考えられます。

 

青年期に関する科学的な研究は既にギリシア時代から哲学や教育といった方面から関心が寄せられ、文献等が記述されてきました。これは心理学という学問そのものが体系的に誕生する前の段階であり、青年期の心理というものへの注目が非常に高かったということが分かるかと思います。科学的な学問としての青年期の心理学的な研究のスタートは「青年心理学の父」とよばれるホールによる研究がきっかけであるとされています。ホールの著書である『青年期』が1904年に刊行されたことが、科学的根拠に基づいた青年期の心理学初の文献であるといえるでしょう。ホールは、個体発生は系統発生を繰り返すという生物学の反復説を人間の発達に応用し、個人の発達は人類のたどった歴史に対応する発達段階を繰り返すという心理的反復説を提唱しました。そのため、人類の歴史になぞらえた場合、青年期は疾風怒濤の段階に至るものであるとされています。

 

3.青年期の心理学的な研究について

ホールによる研究や著作の発刊を契機に、青年期の心理学的な研究はアカデミックな分野で広まっていきました。第1次世界大戦後のドイツでは、青年期の段階の人々が起こす問題が社会問題化したことで、青年期の心理学の研究が盛んになりました。そんな中、心理学者のビューラーは多数の青年期の人々が書いた日記を分析し、その心理的特徴を把握しようと試みました。その結果、17歳頃を境界として青年期を2つに区分し、否定的傾向の強い前期を思春期、肯定的傾向の強い後期を青春期とすることを提唱しました。また、精神的な相互の関係性を、客観的に妥当な認識の形式で意味あるものとして捉えるという了解心理学という分野を創始したシュプランガーは、青年期の個人の主観的体験を超えて、青年期の生活やその歴史的・社会的環境を広く理解することで、青年期を了解(理解)することが、青年期の心理学的研究にとって重要であると主張しました。

 

他にも青年期の発達過程は児童期と連続してゆっくりと進んでいくと主張したホリングワースや、青年期の特徴を「境界人」の特徴として定義したレヴィン、南太平洋の島であるサモアで生活している青年には、動揺や葛藤が発生していないということを報告したミード、青年期を第2の個体化過程としたブロス、アイデンティティの確立がモラトリアムとしての青年期の発達課題であるとしたエリクソンなどの研究があります。

 

4.まとめ

このように、心理学では成人年齢の人間の精神発達について、非常に昔から研究が盛んに実施されているのです。

 

 

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この記事を執筆・編集したのはTERADA医療福祉カレッジ編集部

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