人間の創造性やクリエイティビティと心理学には、どのような関係があるのでしょうか。
私たちは、何か新しい商品・サービスを作ったり、新しいアイデアを生み出すという能力を持っています。
これは、創造性やクリエイティビティとよばれるものであり、人間に特有の能力であるといえるでしょう。
では、この創造性やクリエイティビティと心理学の間には、どのような関係があるのでしょうか。
心理学において、創造性(クリエイティビティ)とは、何らかの課題を解決する際に、独創的な解決方法を考え出すという人間の認知的な機能の1つであると定義されています。
創造性(クリエイティビティ)は、解決すべき課題の中に含まれている物事・事象の関係性を新たに発見したり、新たなアイデア生み出したり、一般的で既に実施されている手法・思考法に囚われずに課題を解決する能力のことなのです。
また、心理学者のトーランスは創造性(クリエイティビティ)とは、課題の解決などの状況に対して、何らかの「不足」を感知し、それに関するアイデアや仮説を作りだし、そのアイデア・仮説を検証して、その結果を他者に伝達する過程を経て、何か新しい独創的なものを産み出すことであるとしています。
このように、創造性(クリエイティビティ)とは、ほとんどゼロの状況から、課題を解決するための「1」を作り出す能力であるといえるでしょう。
そして、創造性(クリエイティビティ)は、頭を使って考えるという認知機能(思考)の1つであるという観点から、心理学では知能の研究の中でも取り上げられています。
心理学者のギルフォードは、人間の認知的な能力を様々な角度から測定できるような課題を作成しました。
そして、これらの課題の達成度などに対して、統計分析の手法である因子分析を実施することで、知能の構造が収束的思考と拡散的思考の2つに分類できるということを示しました。
収束的思考とは、手に入れた情報から予め定められた1つの妥当な正解を求めるような思考方法を指します。
たとえば、「1+1=2」のように、必ず正解が1つであり、正解を導き出す方法が複数存在していても、最終的には1つの政界へと収束していくような思考が収束的思考であるとされています。
いわゆる、数学の問題で公式を利用して正解を導いたり、国語の問題で文章を書いたり、作文を書いたりする際に慣用句やことわざなどを適切に用いたりすることは、収束的思考に該当します。
収束的思考は、過去に学習した知識や体験・経験した記憶に基づいて発揮される思考であり、創造性(クリエイティビティ)とは異なる能力であるといえます。
従って、創造性(クリエイティビティ)は、もう1つの思考である、拡散的思考の方が該当します。
拡散的思考は手に入れた情報から、全く新しい情報を作り出す思考のことであり、何らかの事象・現象に関する仮説をできるだけ多く考え出す場合や、既に存在している商品・サービスのどの部分を改良・改善したら、より便利になるのかというアイデアを生み出す際に活用されるものであるとされています。
たとえば、小学校受験などの際に出題される論理問題や問題場面解決テストなどは、拡散的思考の代表例といえるでしょう。
「ここに空のペットボトルと砂があります。この2つを使って、何か作品を作って、その作品に自分でタイトルをつけてください」という課題があったとしましょう。
このような課題の場合、既に学んだ知識や過去の体験・経験はあまり活用できません。
その上、正解は1つではないため、収束的思考では対応できないということになります。
そこで、拡散的思考を活用することで、様々な解答案を探りながら、正解を導き出していくことになります。
ちなみに、空のペットボトルと砂に関する課題ですが、砂をペットボトルに入れて振ることで楽器になる、砂をペットボトルに入れて床に置き、それにボールを投げるというゲームをするなど、様々な解答が正解になります。
拡散的思考などの知能に関して、興味・関心のある方は、こころ検定4級の第7章で概観していますので、是非、勉強してみていただければと思います。
この記事を執筆・編集したのはTERADA医療福祉カレッジ編集部
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