心理学・カウンセリング・メンタルケアの専門家には、7月生まれの著名な先生方がいます。
カール・グスタフ・ユングは1875年7月26日生まれの、スイスの精神科医・精神分析家です。
ユングは1900年にバーゼル大学の医学部を卒業しました。
ユングを指導していたのはブロイラーやジャネであり、当時第一線で活躍している精神科医がユングの師匠でした。
特にブロイラーは統合失調症(※当時は精神分裂病)に関する研究を実施しており、ユングも統合失調症の研究や治療に従事しています。
その過程で、ユングはブロイラーから、オーストリアの精神科医であるフロイトについて教えられ、交流を持つようになりました。
その後、ユングはフロイトの勧めもあり、国際精神分析学会の初代会長に就任しました。
しかし、その後、ユングはフロイトと精神分析に対する考え方の違いから決別することになってしまいました。
元々、ユングはブロイラーの下で統合失調症の治療・研究に従事していたので、精神分析を統合失調症の治療・支援に応用することを目的としていました。
一方で、フロイトは神経症の治療・支援に精神分析を応用することを目的としており、両者の目的が異なっていたのも、対立を生む原因となりました。
フロイトとの決別の際の激しい葛藤やストレスの経験を基に、ユングは分析心理学を確立しました。
分析心理学は別名、ユング心理学ともよばれ、その中でユングは、内向型・外向型などの心理的な傾向、個人的無意識と集合的無意識、コンプレックス、元型(アーキタイプ)、相補性、個性化などの様々な概念を提唱しました。
アルフレッド・ビネーは1857年7月8日生まれのフランスの発達心理学者です。
ビネーは非常に変わった経歴の持ち主であり、最初から心理学を専攻していたのではなく、法律学を専門とし、弁護士として活躍していました。
その後、医学に転向し、さらに、心理学の研究にも従事しました。
心理学に関しては、ボーニスの下で学び、フランスのソルボンヌに生理心理学の実験室を開設したり、心理学の学術的専門誌を創刊・編集するなど、様々な活動をおこないました。
ビネーはその才能を多方面でフル活用し、各分野で身につけた知識や技能を心理学の領域で遺憾なく発揮しました。
ビネーは当初、人間の思考過程の個人差を実証的に検討することに関心を持ちました。
思考過程の従来の研究が、抽象的・分析的であったのに対し、ビネーは、具体的・総合的に思考過程の問題を捉え、メカニズムを明らかにしようと試みました。
これが、一般的な判断力や認識能力の測定を重視するビネー式知能検査の開発に活かされています。
ビネーは同僚の医師であるシモンと協力して、1905年世界で最初の知能検査であるビネー式知能検査を開発しました。
その後、ビネー式知能検査はフランス以外の様々な国で標準化されました。代表的なものにスタンフォード・ビネー知能検査などがあります。
また、日本版としては、田中・ビネー知能検査や鈴木・ビネー知能検査があります。
このように、ビネー式知能検査は作成者の名前や開発に関わった大学の名前等がつけられています。
各国版などのバージョンがいくつかあるものの、ビネー式検査は子どもの発達段階に合わせて問題が設定され、検査全体での正答率に基づいて精神年齢(MA)や知能指数(IQ)を算出するという点では共通しています。
そのため、幼稚園、小学校、中学年の児童・生徒の一般的な知能の測定には適しています。
一方で、成人の知能の測定や神経発達症(発達障害)の診断などには不向きであることが指摘されています。そのため、成人の知能検査としては、ビネー式ではなく、ウェクスラー式知能検査を実施する場合があります。
この記事を執筆・編集したのはTERADA医療福祉カレッジ編集部
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