発達心理学は胎児期から超高齢期までの、人間の一生をカバーしている心理学の分野です。
その中でも、乳児期と幼児期に子どもの発達や心理に関する分野を乳幼児心理学とよびます。
日本には、日本乳幼児医学・心理学会という学術学会があり、2017年には12月に年次大会が開催されています。
乳児期とは、生後1年または1年半くらいの時期を指します。
乳児を英語で「infant」とあらわしますが、これは元々「話さないもの」という語源からきています。
しかし、実際の乳児はまったく喋れないわけではなく、初語といわれる言葉を話すことがあります。
また、視覚系・聴覚系を中心とする認知と表象能力の発達、構音の能力、対人的能力の発達が認められる時期でもあります。
運動能力については、体幹から周辺への筋緊張とコントロールの広がりが認められ、脊椎周辺の筋緊張が、いわゆる「首がすわると」とか座位を可能にします。
そして、腕や手の適切な緊張・弛緩から腕や手のコントロールへと移り、やがて立位や歩行へと発展していきます。
乳児期初期において、乳児自身の発声や表情などが周りの人間に対して与える効果を学習し、また外界への関心も高めることになります。
また、身体的に直接外界に働きかける能力の低い生後3~4カ月までは、乳児が影響を受ける主な対象が、人間、特に親などになります。
幼児期とは、人類の特徴である直立二足歩行や話し言葉が獲得される1歳代から就学する6歳頃までの時期を指します。
ただし、幼児期の前後の時期である乳児期や児童期がどのように特徴づけられるかで、年齢の時期区分は異なるとされています。
幼児期内の区分として、3歳ないし4歳以前を幼児期前期、それ以降を幼児期後期とすることがあり、この区分は幼児教育や保育の制度にみられる時期区分に概ね対応したものになっています。
1~2歳頃では、安定した直立二足歩行の獲得を基礎として、言語的指示に従って目標をもって歩行することや、方向転換することが可能になってきます。
また、手による道具の操作が可能になるのもこの時期です。
3歳頃には、走る・跳ぶ・投げる・打つ・蹴る・捕えるなど運動の基本動作が獲得されるようになってきます。
手や指の微妙なコントロールを必要とする鉛筆等による線描画や折り紙を折るなどの技能も急速に向上しはじめます。
特に3~4歳以降、片足とびなどの二つ以上の動作を統合して一つの動作とすることが可能になります。
★「赤ちゃんの成長は頭から」
幼児は目の前にあるものをイメージや言葉に置き換えて理解する能力である表象操作を行うことができます。
しかし、幼児はまだ自他の区別が十分ではなく、他者の視点に立ってものごとを考えることができないという自己中心性という特徴があります。
ただ、発達の過程で、1~2歳頃になると鏡に映った自分の像を自分だと理解したり、自分の名前と友だちの名前を区別するようになるなど、自己の身体像の確立や自他の分化が生じるようになります。
3歳頃には,自分の性別を意識するなど、自己と他者を区別し比較するようになり、自分の主張や要求のとおし方は強烈かつ巧妙になってきます。
親が指示したことに強い抵抗を示すところから、第一次反抗期とよばれる状態が3歳頃になります。
4歳頃になると、他者が自分をどのように見ているかに非常に敏感になってきます。
5~6歳頃には、自律的な自己調整力が働くようになり、課題に対して持続的に取り組むとともに、自分の達成したことと他者が達成したことを比較することで競争心が芽生えるようになります。
そのようなプロセスを経て、この時期の子どもは、ひとり遊びよりも集団遊びを志向するようになります。
このように、乳児期と幼児期は就学前の段階ではあるものの、目覚ましい発達を遂げる時期です。そして、この時期に健康で親からの愛情をもって育てられることで、その後の人生が良いものとなっていくことが分かっています。
この記事を執筆・編集したのはTERADA医療福祉カレッジ編集部
「つぶやきコラム」は、医療・福祉・心理学・メンタルケアの通信教育スクール「TERADA医療福祉カレッジ」が運営するメディアです。
医療・福祉・心理学・メンタルケア・メンタルヘルスに興味がある、調べたいことがある、学んでみたい人のために、学びを考えるうえで役立つ情報をお届けしています。