直感に関する心理学的な定義は「ある対象の非分析的・無媒介的把握・理解」の方法のことであるとされています。
「非分析的」とは、しっかりと頭で考えて、何かと比べたりしながら、詳細に検討するということを「しない」ということです。
また「無媒介的把握・理解」というのは、その対象について「誰かに教わったり、テレビやネットで調べたり」ということを「しない状態で把握・理解している」ということです。
つまり、自分以外の「誰か」や「何か」が関わることなく、頭でしっかりと考えたり、分析したりすることもなく「これは、こういうものだ」と理解しているというのが、直感です。
直感は生まれた時から機能しているものではなく、発達の過程において獲得されるものです。
また、人間の思考には、いくつかの分類がありますが、直感は生産的思考や創造的思考との関連が強いとされています。
私たちが何らかの問題に直面した際の思考には、既に知っている方法を上手く活用して解決に至る場合と、これまでに知り得た方法では対処が難しいので新しい方法を生み出して解決する場合があります。
たとえば、算数・数学に関する課題に解答・解決には、既知の方程式などを正しく活用すれば、どんなに難しい問題であったとしても、必ず解決することができます。
これを心理学ではアルゴリズムによる問題解決とよびます。
しかし、既存の解決手段および、それらの既知の組合せでは、どうしても上手に解決できない場合が日常生活には沢山あります。
このような場合には、新たな手法を編み出す必要がありますが、これを心理学ではヒューリスティックスによる問題解決とよびます。
生産的思考とは、このヒューリスティックスによる問題解決において不可欠な思考法なのです(新しく生み出すという意味で「生産的」なわけです)。
このような生産的思考の一種が創造的思考です。
創造的思考は単に生み出されるものが新たな方法・手段であるということに留まらず、その所産全体にまで言及するものであり、より基本的な拡散的思考や収束的思考の両方とも関与することがあります。
拡散的思考の段階では、連想やアナロジーによって関連する各種の心的イメージが生産的記憶によって統合され、創造的想像を生み出します。
収束的思考の段階では、それらが問題とする領域の構文的構造の影響を受けながら、既存の手段の援用に留まらない新たな手段を導き、これまでに無い全く新たなものを生み出します。
創造的思考に関する能力は、練習や訓練によって高めることができるとされています。
個人で実施可能なKJ法や、集団で行うブレーン・ストーミングなどが、創造的思考を高めるための方法として有名です。
創造的思考には、いくつかの段階があります。
これは、心理学者のウォリスが提唱しているものであり、第1段階である準備期、第2段階である孵化期、第3段階である啓示期、第4段階である検証期の4段階で構成されると述べています。
直感は孵化期から啓示期にかけて重要な役割を果たすものであると考えられています。
孵化期において、直面している解決すべき問題について、一旦考えるのを中止するという方法が取られます。
これを卵を孵化させるために、親鳥が卵を温めるのと同じであると捉えるため、この段階のことを孵化期とよんでいるわけです。
本来、問題を解決するためには「試行錯誤して考える」ということが必須なように感じられます。
しかし、一旦、問題やそれに関する思考から距離を置くことで、一見すると何も起きていないような状態で、直感が発生し、一気に問題解決が進むことがあるのです。
従って、考えが煮詰まってしまった時は、一旦そのことから離れてみるのも大切であるということです。
思考に関しては、こころ検定4級の第7章でも概観していますので、興味・関心があるというかたは、是非、勉強してみていただければと思います。
この記事を執筆・編集したのはTERADA医療福祉カレッジ編集部
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