現在、私たちの日常生活にはパソコンやタブレット、スマートフォンなどが欠かせないものとなっています。
では、そのようなツール・機器を使用する際に、私たちの心や精神にはどのような影響があるのでしょうか。
よく「インターフェイス」という言葉を耳にすることがあるかと思います。
インターフェイスとは、「二つの異なった物質が触れあう面」というのが本来の意味になります。
ここから派生する形で複数システムをつなぐ仕組や人と機械・道具の接点という意味で使われています。
IoTと人間の場合も、やはり接点という意味でインターフェイスという言葉が使われています。
機会はその機能を実行する対象への接面と、パフォーマンスの状況を知らせ、人間からの命令を受ける接面の2つのインターフェイスがあります。
特に人間と機械の接面をマン = マシン・インターフェイスとよびます。
現在、技術革新に伴い、複雑な機械を幅広いユーザーが使用したり、大規模プラントの計測制御系のように人間の操作エラーが社会的に大きな影響をもたらすようになっています。
従って、マン = マシン・インターフェイスも人間の感覚・生理・運動機能との関連での操作性の高さを要求されており、さらにはユーザーがゴールを達成するための操作手順を機械との対話の中から理解できるような使いやすさ、あるいはユーザーの操作ミスが取り返しのつかない結果に結びつかないような補償・支援機能をもつなどの認知的インターフェイスが要求されています。
マン = マシン・インターフェイスにおいて「親しみやすい」「使い勝手のよい」「人に優しい」などの意味で使われる用語にユーザーフレンドリーというものがあります。
マシンはユーザーの要求を解釈し、マシンへの知識不足をユーザーに意識させることなく操作できることが求められています。
マシンは高度に情報化・複雑化し、ユーザーは多様化する中で、マシン使用へのユーザーの動機と使用に際しての安全性を高めるために、マシン側がユーザーに適応する必要があるという設計思想がユーザーフレンドリーの基本となっています。
また、ダイレクト・マニピュレーションという概念もIotと人間との関係性を語る上でっ重要な用語です。
ダイレクト・マニピュレーションとは、シュナイダーマンによって提唱された概念であり、日本語では直接操作感と訳されることがあります。
これは、機械を利用している時に、機械そのものを操作しているというよりも、機械の存在は意識せずに、対象そのものを操作していると感じることができるインターフェイスのことを意味しています。
佐伯胖は、インターフェイスにおいて第一接面(利用者と機械との接面)と第二接面(機械と対象との接面)の区別をしており、第一接面が意識されない場合がダイレクト・マニピュレーションであると述べています。
インターフェイスに関する理論には様々なものがありますが、代表的なものに人間情報処理モデルがあります。
この理論はカードらが提唱したものであり、マシンの利用者の情報処理過程を時間特性や容量特性に着目し、心理学の各知見からまとめあげたインターフェイスの基本モデルです。
記憶機構として、視覚的イメージ記憶と聴覚的イメージ記憶の作動記憶および長期記憶を仮定し、処理過程として、知覚プロセッサ・認知プロセッサ・運動プロセッサの3段階を設定しています。
また、カードらは課題遂行の行動を記述するためのモデルとしてGOMS(Goal Operator Method Selection-rule:ゴムズ)を提唱し、設計をインターフェイスの面から分析・評価するのに利用しています。
同様にコンピュータなどで,操作に要する時間をキーストロークのレベルで分析したKLM(Keystroke-Level Modelについても提唱しています。
このようにIoTと心理学については学際的な領域として、コンピュータの誕生初期から研究が進められています。
現在、我々がパソコンやタブレット、スマートフォンを便利に使えているのも、心理学的な研究成果を活用しているからなのです。
この記事を執筆・編集したのはTERADA医療福祉カレッジ編集部
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