リーダーシップとは、心理学的にどのようなものなのでしょうか。
学校における部活や会社における部署組織など、私たちの生活には様々な集団が存在しています。
そして、そういった集団にはリーダーが存在することがあります。
そして、リーダーの資質や取るべき態度、パーソナリティなどについて、心理学で研究が進められています。
心理学において、リーダーシップは主に社会心理学において研究されています。
これは 社会心理学が集団や組織について研究する分野であることが関係しています。
ただし、私たち人間が集団・組織やリーダーというものに興味・関心を抱いていたのは、心理学が誕生する以前からであり、紀元前の古代ギリシアや古代エジプト、中国などで古い文献の中で既にリーダーやリーダーシップに関する記述が発見されています。
心理学におけるリーダーシップの定義は「集団の目標達成および集団の維持・強化のために成員によってとられる影響力行使の過程」とされています。
この定義からも分かる通り、リーダーシップとは単純にリーダーだけに関わるものではなく、リーダーを中心としたグループ成員全体に関するものとなっています。
また、リーダーシップと似た概念として、ヘッドシップというものもあります。
リーダーシップとヘッドシップの違いは、リーダーの権威や影響過程が地位と人間的な魅力の関係性などであるとされています。
リーダーシップはリーダーの権威や影響過程が集団における地位と人間的魅力の両方から構成されていますが、ヘッドシップは地位だけが関係しているとされています。
集団には公式集団と非公式集団の2つに分類することができますが、それぞれの集団において、リーダーシップは異なるものとなっています。
公式集団では、集団内での明確な職位や役職、役割が決められている場合が多いため、リーダーシップはいわゆる「長」に期待される役割行動となるケースが多いです。
一方で、非公式集団は自然発生的に誕生することが多いため、最初から職位や役割が決まっているわけではありません。
そのため、非公式集団では、リーダーシップが複数の成員に共有されている場合が多く、その中で最も強くリーダーシップを発揮した成員が後付けでリーダーとなるケースが多いです。
リーダーシップには様々な理論がありますが、その中に日本の専門家が提唱したものがあります。
これはPM理論とよばれており、非常に有名なリーダーシップ理論です。
PM理論とは、日本の社会心理学者である三隅二不二先生が提唱したリーダーシップに関する理論です。PMの「P」とは「Performance」の頭文字であり、「M」は「Maintenance」の頭文字を表しています。
PM理論は組織や集団の持つ機能という視点から、リーダーシップについて検討し、リーダーシップの類型化を行っています。
集団機能とは、集団・組織における課題の解決や目標達成、そして、集団・組織を存続・維持させることという大きく2つの側面で構成されています。
このうち、集団・組織の課題解決や目標達成の機能をPerformance Function(P機能)とよび、集団・組織の存続や維持に関する機能をMaintenance Function(M機能)とよびます。
三隅先生はこの集団機能の概念を、リーダーシップを説明する枠組として理論化したのです。
集団・組織において、最も集団機能の役割を果たしているのはリーダーであり、そこにリーダーシップを集団機能の概念で説明する根拠が存在すると考えたのです。
PM理論は縦軸に集団維持機能(M機能)次元を、横軸に課題達成機能(P機能)次元をとり、リーダーがこれらの2つの機能をどの程度果たしているかを部下に評定させることで、その平均値に基づいてリーダーシップを次の4つの類型に分類します。
リーダーシップやPM理論などのに関する心理学的研究や、産業・組織心理学については、こころ検定1級(メンタルケア心理専門士)のテキストである精神予防政策学に於いて概観していますので、興味・関心のある方は、是非、勉強してみてはいかがでしょうか。
この記事を執筆・編集したのはTERADA医療福祉カレッジ編集部
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