日本に様々なメンタルヘルスに関する機関や施設があります。
メンタルヘルスに関する機関や施設というと、病院やカウンセリングルームが最初に思い浮かぶかと思います。これ以外にも、実は様々な機関・施設が日本には存在しています。
家庭裁判所は1949年に日本国憲法の誕生に合わせて、女性や子供などの権利擁護などを目的に当時のGHQの示唆によって設けられることになったという歴史があります。
それまで、日本国内には地方裁判所の支部として位置づけであった家事審判所と戦前の司法省が管轄していた少年審判所が存在していました。
この2つが統合される形で、全国50カ所に家庭裁判所が設置されました。
心理カウンセラーと家庭裁判所の関係性としては、家事審判法と少年法に基づいて、家庭の平和と少年の健全育成を図ることを目的とした「裁判とは異なる」審判や調停という手続で問題を解決していくという流れの中で心理学の専門家としての仕事が発生しています。
具体的には、心理学等の知識を活用する家裁調査官が家庭裁判所において、教育的・福祉的な活動をしています。
心理カウンセラー資格を有する専門家がこの家庭調査官としての仕事に従事しているのです。
家庭裁判所や家庭調査官が関わる業務の1つに保護観察というものがあります。
保護観察とは、非行少年や犯罪者に社会生活を続けさせながら改善・更生を図る社会内処遇制度のことです。
家庭裁判所で保護観察決定を受けた少年・少女は保護観察つき執行猶予の成人に対するプロベーションという形式と、少年院や刑務所を仮退院または仮出所した人に対するパロールという形式の2つの対応があります。
プロベーションとパロールはどちらも、一定期間において更生のための監督・指導を行うというものです。
家庭調査官が関わる対象として、非行少年・非行少女がいるわけですが、厳密には他にも対応すべき相手がいます。
これは虞犯少年・虞犯少女とよばれる子どもたちです。
虞犯行為とは、保護者の正当な監督に服しない性癖がある・正当な理由がなく家庭に寄りつかない・自己または他人の徳性を害する行為をする性癖があるといった行為の総称を指す言葉であり、少年法によって規定されているものとなっています。
より具体的には家出・薬物乱用・飲酒喫煙・暴行・不純異性交遊などが虞犯行為の代表的な例です。
このような事由(虞犯事由)があり、さらにその傾向または環境に照らし合わせて、将来、犯罪を犯す「虞れ(虞犯性)」のあるという状態の子どもを虞犯少年・虞犯少女とよぶわけです。
家庭裁判所での業務において法律は切っても切れない関係性があります。
非行と虞犯と犯罪が法的に微妙に異なるものであるとういことを心理カウンセラー(家庭調査官)は拍をしておく必要があります。
その関連で触法行為という専門用語があります。
これは、14歳未満の児童の刑罰法令に触れる行為のことを指します。
14歳以上の者が行えば犯罪となる行為ですが、14歳未満の者には刑事責任を問えないので触法行為とよんで区別しているわけです。
内容は窃盗が割合として多いですが、恐喝・暴行・傷害・強盗・強姦・殺人なども含まれます。
触法少年は児童相談所が取り扱い、養護施設や児童自立支援施設等への入所措置や児童福祉司による指導等の処遇を決定するものですが、児童相談所から家庭裁判所へ送致される場合もあります。
家庭裁判所も時代や社会の変化を受けて、対応領域や業務内容も変化しています。
2004年からは、人事訴訟(離婚訴訟など)及びこれに関する保全事件等も地方裁判所から移管され、家庭裁判所の管轄となっています。
また、戸籍上の改名の許可・不許可も家庭裁判所の管轄となります。
そして、2014年には、国際的な子の奪取の民事上の側面に関する条約の批准に基づき、東京家裁(子の住所地が福井県・岐阜県・三重県の各県以東の場合および住地不明の場合)と大阪家庭裁判所(子の住所地が京都府・滋賀県・奈良県・和歌山県の各府県以西)において、16歳未満の子が国境を越えて不法に日本へ連れ去られた場合などにおける子の返還に関する紛争事件を専属で家庭裁判所で取り扱うことになりました。
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