コラム

計量記念日と心理学の関係

2024.11.14 心理
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計量や測定と心理学には、どのような関係があるのでしょうか

 

【目次】

  1. 1.11月1日は「計量記念日」
  2. 2.心理学者フェヒナーと精神物理学について
  3. 3.フェヒナーの法則について
  4. 4.まとめ

 

1.11月1日は「計量記念日」」

日本では365日の全てに何らかの記念日が制定されています。11月1日は「計量記念日」に制定されています。これは、当時の通商産業省(現:経済産業省)が1952年に制定されたものです。この当時は6月7日が計量記念日でしたが、1993年に国際的な水準を目指した新計量法の施行に伴い、それまでの6月7日から11月1日に変更され、現在に至っています。

 

この日は社会全体の計量制度に対する理解の普及を図ることが目的であり、記念行事や計量関係功労者の表彰などが行われています。また、11月を「計量強調月間」とし、計量制度の普及や社会全体の計量意識の向上を目指しています。計量記念日は、3月25日の「電気記念日」、4月18日の「発明記念日」、6月28日の「貿易記念日」とともに経済産業省4大記念日の1つとなっています。また、関連する記念日として、4月11日は「メートル法公布記念日」、5月20日は「世界計量記念日」となどがあります。

 

では、計量や測定と心理学には、どのような関係があるのでしょうか。

 

2.心理学者フェヒナーと精神物理学について

心理学の一分野として、精神物理学というものがあります。精神物理学は心理学の古典的な考え方であると同時に、現在の心理学・カウンセリング・メンタルへルスに多大な影響を与えています。精神物理学は心理物理学ともよばれ、心理学者のフェヒナーが心と身体との間の関数的関係についての精密科学として提唱したものです。フェヒナーは精神物理学を「対象とする刺激の強さ(I)と感覚の大きさの判断(R)の関係性を、数学的(関数)に探ることを目的としています。当初、フェヒナーは最も内的な(目には見えない)人間の心理的過程を精神物理学的に探ろうとしていました。しかし、フェヒナーが研究をしていた1800代後半には、まだ人間の生理的過程を直接計測することができず、あまり具体的な進展がない状況でした。そのため、より外的(目に見える)人間の心理的過程を探ることに重点が置かれるようになり、その中で、調整法・極限法・恒常法・マグニチュード推定法などの精神物理学的な方法が確立されていきました。実はこれらの手法は心理アセスメントで利用される質問紙法や投影法などの手法の元となっているものです。また、より身近なもので言えば、アンケート調査なども、これらの精神物理学的な方法に基づいて作られています。

 

3.フェヒナーの法則について

精神物理学は「物理」という名前がついているように、人間の心を数理的な法則で捉えていくものです。そのため、精神物理学には法則や定理が存在します。代表的な法則・定理の1つとして、フェヒナーの法則があります。フェヒナーの法則は、強度の異なる2つの刺激がある場合、その2つの強度の差を数学的に計算することで、間接的に尺度を作成することができるという考え方です。また、このフェヒナーの法則と同じく、精神物理学の代表的な法則・定理として有名なものに、ウェーバーの法則があります。これは、ウェーバーが提唱した弁別閾に関する経験的な法則です。たとえば、目隠しをした状態で、手の上に50gの重りを乗せたとしましょう。続いて、一旦、その50gの重りを手の上から外し、代わりに51gの重りを乗せます。重りの重さはわずか1gの差しかないので、おそらく、多くの人は1番目の重りと2番目の重りの「重さ」に対して差を感じとる(弁別)することは難しいでしょう。では、最初に50gの重り、次いで52gではどうでしょうか。このように、少しずつ1番目と2番目の重りの重さの「差」を大きくしていき「どの段階で、違いが分かるか?」を確認していきます。もし、50gと53gで差があると認識できた場合、この3gの差のことを丁度可知差異とよびます。つまり、人間にとって、この3g以上の差が心理的に認識可能な最小の重さであるということです。そして、ウェーバーの法則では、人間が感じ取れる「差」は、刺激量(重りの重さ:I)に比例して変化するとされています。たとえば、50gと比べて53gで弁別が可能な場合、重りが100gの場合には、106gではじめて差が弁別できるということです。

 

4.まとめ

このように「心を計量する・測定する」という観点からも、心理学は研究が進められており、他の心理学分野にも共通する基盤となっています。

 

 

著者・編集者プロフィール

この記事を執筆・編集したのはTERADA医療福祉カレッジ編集部

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