国立競技場と心理学にはどのような関係があるのでしょうか。
日本には365日の全てに何らかの「記念日」が制定されています。
3月30日は「国立競技場落成記念日」に制定されています。
これは1958年の3月30日に東京の明治神宮外苑に「国立霞ヶ丘陸上競技場」(旧国立競技場)が完成し、落成式が行われたことに由来しています。
旧国立競技場は「明治神宮外苑競技場」(神宮競技場)という名称で1924年に日本で初めての、青山練兵場跡地に建設されました。
そして、この神宮競技場は陸上競技だけではなく、サッカーやラグビーなどの球技も実施される総合競技場として利用されてきました。
さらに、戦後のオリンピック招致のためのアピールとして、1958年5月に「第3回アジア競技大会」を東京で開催することになり、そのメイン会場として新設された際に「国立競技場」という名称になったのです。
そして、1964年の東京オリンピックでは、開閉会式場や協議のメイン会場として使用されました。
近年では、スポーツだけでなく花火大会やアーティストのライブ会場など様々なイベント会場として使用されてきました。
ただ、2020年の東京オリンピック・パラリンピック開催に合わせて、メイン会場となる「新国立競技場」への改修のため、2014年に旧国立競技場は閉鎖・解体され、新国立競技場が2019年に完成し、現在の【新】国立競技場となったわけです。
さて、そんな国立競技場と心理学には、どんな関係があるのでしょうか。
心理学には様々な分野がありますが、さすがに「野球心理学」や「サッカー心理学」・「陸上競技心理学」などの分野はありません。
ただし、スポーツ心理学や体育心理学という分野があり、様々な研究が進められています。
体育心理学とスポーツ心理学は似ている・重なっている分野ではありますが、多少の違いはあります。
体育心理学とは、体育に関連する様々な現象について心理学的な観点から研究するものです。
従って、学校の授業の体育との関連が強く、体育の学習や指導の科学化・能率化に有効な知識・技術を含む学問領域となっています。
また、体育の授業との関りから、教育心理学の応用分野という見方もできます。
体育心理学の主な研究内容として、身体運動の心理的特性、運動の生理心理学的な基礎研究、運動と認知機能の関係,運動の学習と指導方法・教授方法,身体運動とパーソナリティ特性の関係,運動の社会心理学的研究、心身の発達に関する研究、運動能力の測定・評価に関する研究、運動競技に関する心理学的な研究などがあります。
つまり、基礎心理学である生理心理学やパーソナリティ心理学、発達心理学などとプラスして、運動やスポーツの応用的な内容を研究しているということが多いわけです。
そして、スポーツ心理学ですが、これは単なる授業としての運動とは異なる「スポーツ」というものを心理学的に研究する分野です。
スポーツの定義として、体力や健康の増進に貢献する手段としての価値だけでなく、活動する身体としての経験と関わる重要な本質的な価値を備えているものという考え方に依拠しています。
スポーツ心理学は、このようなスポーツの概念に根差し、スポーツの構造と機能を心理学的に研究しているのです。
日本には1973年に日本スポーツ心理学会が設立され、現在でも精力的に研究が進められています。
特にスポーツとライフスタイルの関係、スポーツの種類とその特性、スポーツの技能、スポーツ集団とリーダーシップの関係、スポーツ観戦の心理など、多岐にわたります。
また、日本スポーツ心理学会では「スポーツメンタルトレーニング指導士」という資格認定・資格養成も実施しています。
この資格は競技力向上のための心理的スキルを中心にした指導や相談を行う学識と技能を有する専門家として日本スポーツ心理学会が認定する資格となっており、資格取得者はメンタルト・レーニングによってスポーツ選手への心理サポートを提供することができます。
このように、国立競技場で実施されている様々なスポーツの近くにも、心理学が応用的な形でかかわっているのです。
この記事を執筆・編集したのはTERADA医療福祉カレッジ編集部
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