心理学・カウンセリング・メンタルケアの専門家には、11月生まれの著名な先生方がいます。
ヘルマン・ロールシャッハは1884年11月8日生まれのスイスの精神科医・精神分析家です。
ロールシャッハはスイスのチューリッヒ大学でブロイラーの下で学位を取りました。
ブロイラーは統合失調症の研究で有名な精神医学者であり、弟子の1人にはユングもいます。
チューリッヒ大学卒業後、ロールシャッハはフロイトが提唱した精神分析に関心を持ち、勉強をはじめます。
ロールシャッハの名を冠した投影法形式の心理検査として「ロールシャッハ・テスト」があります。
これは、ロールシャッハ自身の生い立ちや幼少期の興味・関心と、精神分析がクロスする形で成立していると考えられています。
ロールシャッハの父親は画家・美術教師であり、その影響で子どもの頃のロールシャッハはいつも絵を描いてばかりいたということで、当時のあだ名はドイツ語で「インクの染み」をあらわす「 Klecks 」であったと言われています。
元々、絵画や美術に興味・関心を持っていたロールシャッハが精神分析を学ぶことで、ロールシャッハ・テストが誕生する基盤が出来上がったわけです。
ロールシャッハが初めてインクブロットを用いて研究を行ったのは1911年で、学校の教師をしていた友人の協力を得て児童や患者を対象にテストを実施しました。
そこで、児童の才能とテストでの創造力の相関について検討しています。
しかし、ロールシャッハはこの研究を一時中断し、その間、反射幻覚などの感覚領域の研究や、宗教心理学、社会学などについての研究を進めました。
ロールシャッハが再びインクブロットの研究に乗り出したのは1921年のことで、研究成果をまとめた『精神診断学』という書籍を出版し、インクブロット・テストが人間のパーソナリティの分析や精神病理の解明に有効であることを示しました。
そして、当初は「インクブロット・テスト」とよばれてもらったものが、開発者の名を冠したロールシャッハ・テストになったわけです。ロールシャッハの死後、ロールシャッハ・テストは、フランスの心理学者のビネーらによって発展し、1993年にアメリカの心理学者であるエクスナーがロールシャッハ・テストをまとめて、包括的なシステムを作り上げました。
ゴードン・オルポートは1897年11月11日生まれのアメリカの心理学者です。
オルポートの兄であるフロイド・オルポートも心理学者であり、兄のフロイドは社会心理学に関する研究業績が有名です。
オルポートは兄弟はそろって心理学に関する研究実績があるという意味でも非常に有名な人物なのです。
ゴードン・オルポートは1922年にアメリカのハーヴァード大学で学位を取得した後、ダートマス大学での2年間教鞭を取りましたが、その後は母校であるハーヴァード大学で生涯にわたって教鞭をとりました。
ゴードン・オルポートは、人間のパーソナリティを中心に研究に従事し『人格心理学』や『人格と社会の出会い』などの書籍を執筆しています。
また、兄であるフロイド同様、社会心理学の分野においても研究を続け、偏見や流言などに関して様々な実験・調査を実施しています。
偏見や流言は人間のコミュニケーションにおける誤りや不確かさ、偏った情報発信などについて、非常に重要な示唆を与えるものとなっています。
ゴードン・オルポートが研究に従事していた時代は、まだインターネットが存在しない社会情勢でした。
しかし、偏見や流言はインターネット時代である現代においても様々な知見を与えてくれています。
パーソナリティ心理学や社会心理学に関する研究業績から、ゴードン・オルポートは、アメリカ心理学会(APA)の会長を務めるなどの功績を残しています。
この記事を執筆・編集したのはTERADA医療福祉カレッジ編集部
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