コラム

10月生まれの心理学・カウンセリング・メンタルへルスの専門家 Part4

2020.10.23
  • 教育心理学
  • こころ検定3級

心理学・カウンセリング・メンタルケアの専門家には、10月生まれの著名な先生方がいます。
デイヴィッド・オーズベルは教育心理学に多大な貢献をしたことで有名です。

 

 

 

▶デイヴィッド・オーズベル

デイヴィッド・オーズベルは1918年10月25日生まれのアメリカの教育心理学者・精神科医です。

 

オーズベルは1939年にアメリカのペンシルヴェニア大学を卒業した後、コロンビア大学で修士号と博士号を取得しています。
さらには1943年には医学博士号も取得し、大学や病院で精神科医としても勤務していました。

 

心理学と精神医学は近接する領域ではあるものの、現在の日本でもオーズベルが学んでいた当時も、学部・学科を跨いで勉強をする必要があります。
従って、1回、大学に入学・卒業するだけで、同時に2つの専攻を修了することはできません。

 

さらに言えば、オーズベルは心理学と精神医学で、どちらも博士号まで取得しているという点で、非常に優秀な科学者であったと言えるでしょう。

 

現在、心理カウンセラーの世界基準となっている科学者 – 実践者モデルでは、心理カウンセラーや精神科医・心療内科医などの実践家は、科学者としての視点を持たなければならないとしています。

 

そして、欧米の国・地域では、この科学者 – 実践者モデルに基づき、心理カウンセラーは大学で学部4年間・修士課程2年間・博士課程3年間の課程を修了してからでないと、カウンセラーの試験が受験できないというところも多いです。

オーズベルはまさに「科学者 – 実践者モデルの王道」を進んだ専門家と言えるのではないでしょうか。

 

オーズベルはアメリカのイリノイ大学などで教育心理学の教授を務め、教育心理学の研究者として、まず有名になりました。

 

また、発達心理学における青年期の理論についても研究していました(オーズベルは発達心理学者であり、認知発達理論を提唱したジャン・ピアジェの弟子にあたります)。
そして、1973年にアカデミックな分野で活動を抑え、精神医療の実践的な活動に身を投じています。

 

 

オーズベルの教育心理学における業績として有名なのが、有意味受容学習先行オーガナイザーです。

 

有意味受容学習とは、何か新しい知識を獲得・学習する際に、重要なのは「意味づけ」であるという考え方です。

 

それまでの教育・学習の考え方は、発見的学習や条件づけなどが主流でした。

 

オーズベルの提唱した有意味受容学習とは、学習されるべき全ての内容を明確に最終形態として呈示し、学習者は各自の認知構造に関連づけながら受容してゆくことが、最適な学習方法であるというものです。

 

受容には学習者の知識体系、認知構造の状態が関連すると考えらており、受容されやすい情報の呈示が必要となるとされています。

 

有意味受容学習において重要となるのが、先行オーガナイザーです。

 

先行オーガナイザーとは、これから学ぶ中心的内容についての抽象的・概念的な枠組あるいは概念的知識を事前情報として与えておくことで、その後に入ってくる知識を人間の知識構造の中に位置づけるオーガナイザーの働きをするというものです。

 

この先行オーガナイザーは、青年期(11歳前後)以前の具体的操作期の子どもには扱うことが困難であり、形式的操作期以降の論理的思考や命題操作などが可能になることで、充分に機能する状態になると考えられています。

 

また、抽象的なオーガナイザーが学習者の内面に定着するためには、豊かな既有知識が蓄えられていることが求められます。

 

つまり、様々な知識が事前に学習・記憶されることによって、新しい知識を学ぶための「準備」がしっかりとなされ、知識を「配置する場所」が事前に用意されるということです。

 

オーズベルが研究をしていた教育心理学については、こころ検定3級の第3章で概観していますので、興味・関心のある方は、是非、勉強してみていただければと思います。

 

 

著者・編集者プロフィール

この記事を執筆・編集したのはTERADA医療福祉カレッジ編集部

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