企業やグループなどの組織・集団について、心理学ではどのように研究しているのでしょうか。
心理学では社会心理学において、集団について研究が実施されています。
そして、より目的が明確化された集団である組織についても、心理学では研究が実施されています。
この場合、産業・組織心理学という分野があり、主に企業・事業所などの組織について研究が実施されています。
組織風土とは、企業・事業所における社風や職場の雰囲気などの「明文化されているわけではないが、より多くのメンバーによって実感される組織の特徴」のことを指します。
組織風土については、1960年代後半から研究が実施されるようなりました。
しかし、組織風土という概念自体はいまだに研究途上にあり、その定義もまだしっかりと定まって胃はいない状態です。
組織風土に関する研究観点は以下のようなものがあります。
組織風土と似た概念に集団雰囲気というものがあります。
これは、一定以上の期間継続して存在する、集団特有の雰囲気のことであり、別名、社会的風土ともよばれます。
集団雰囲気は、その集団のリーダーをはじめとしたメンバーの相互作用によって醸成されるものであるとされています。
その上で、形成された雰囲気はメンバーの行動を規定するようになるとされています。
たとえば、社風・校風・家風などが集団雰囲気に含まれます。
従って、集団雰囲気の概念の中に組織風土という概念が含まれるという構造であると考えることもできます。
ライン組織とは、組織の階層構造の中で、どの階層においてもメンバーが直系の上位者からのみの指示・命令を受けるという権限集中型の組織のことを指します。
ライン組織は別名、軍隊的組織ともよばれます。
ライン組織は、組織における権限関係が直線的で、上意下達型の構造を持っています。
そのため、組織の指揮系統の混乱は少ないという特徴があるものの、上位の管理者ほど負担が増え、情報伝達経路に時間がかかることなどの問題があります。
また、ライン型の組織と逆の構造を持つ組織として、メンバーが複数の上位者の権限下におかれる構造を持つ組織をファンクショナル型組織とよびます。
組織開発とは、組織が本来備えている有効性や機能性を十分に発揮することができるように組織風土などを計画的に変革・改善していくための継続的な過程のことを指します。
組織開発の特徴としては、変革の対象は組織の文化・風土であり、組織の機構や制度の変更だけに留まることはないということがあります。
また、長期的な計画性をもって継続される努力過程であり、組織のトップの管理下で実施されるものでもあります。
そして、変革推進者として組織内部だけでなく外部の力も利用することが重視されており、組織の中の集団を単位として、その活性化に向けて変革が推進されていきます。
よりアカデミックな観点でいえば、集団と個人の関わりに着目する心理学や行動科学の知識・技術を活用することも組織開発の特徴の1つです。
組織開発に関する代表的な手法には、感受性訓練(ST)とマネジリアル・グリッドがあります。
感受性訓練とは、防衛機制の撤廃・今、ここでの体験・現場への応用という3つの要素で構成されるものです。
感受性訓練は日常生活や日常の対人関係を離れた部分で実施されます。
その中心的な感情は感情的コミュニケーションのフィードバックになりますが、それ以外にも、ゲーム・映画・レクリエーション・日記・アート活動・創作活動なども合わせて実施されます。
マネジリアル・グリッドとは、組織の管理者に必要とされる行動要件を「生産・業績への関心・人間(部下)への関心の2軸で捉え、横軸に生産・業績への関心、縦軸に人間(部下)への関心として、それぞれを9段階に分けるというものです。
その結果、2軸・9段階で合計81の格子(グリッド)が出来上がりますが、これをマネジリアル・グリッドとよびます。
本コラムで解説した組織については、こころ検定1級の精神予防政策学で概観していますので、興味・関心のある方は、是非、勉強してみていただければと思います。
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この記事を執筆・編集したのはTERADA医療福祉カレッジ編集部
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