コラム

育児の日と心理学の関係

2024.10.11 心理
  • ジグムント・フロイト
  • 発達心理学

育児と心理学には、どのような関係があるのでしょうか

 

【目次】

  1. 1.10月12日は「育児の日」
  2. 2.発達心理学について
  3. 3.養育とパーソナリティ形成の関係について
  4. 4.まとめ

 

1.10月12日は「育児の日」

日本では365日の全てに何らかの記念日が制定されています。10月12日などの毎月12日は「育児の日」に制定されています。これは、神戸新聞を発行する株式会社 神戸新聞社が制定したものです。これは「い(1)くじ(2)」の語呂合わせから制定されたもので、社会全体で子育てについて考え、地域が一体になって子育てしやすい環境づくりに取り組むきっかけとなる日となっています。育児の日は2003年に制定され、記念日に合わせて様々な育児・子育てについての企画が神戸新聞社によって実施されています。この取り組みが10年以上にわたり継続してきたことで、同社は2015年に日本記念日協会より第9号「記念日文化功労賞」を受賞しています。

 

では、育児と心理学には、どのような関係があるのでしょうか。

 

2.発達心理学について

心理学には、発達心理学という分野があります。発達心理学は各発達段階で研究がそれぞれ進められており、これらの知見は子育てや育児に役立てることができます。
たとえば、幼児期は1歳~6歳頃までの時期を指します。1~2歳頃になると鏡に映った自分の像を自分だと理解したり、自分の名前と友だちの名前を区別するようになるなど、自己の身体像の確立や自他の分化が生じるようになります。3歳頃には,自分の性別を意識するなど、自己と他者を区別し比較するようになり、自分の主張や要求のとおし方は強烈かつ巧妙になってきます。4歳頃になると、他者が自分をどのように見ているかに非常に敏感になってきます。5~6歳頃には、自律的な自己調整力が働くようになり、課題に対して持続的に取り組むとともに、自分の達成したことと他者が達成したことを比較することで競争心が芽生えるようになります。

 

続いて、児童期は7歳~12歳ころの時期を指します。日本においては、小学校入学から卒業くらいまでの間が該当します。この時期で重要となるのは、同じ年齢の友人関係です。小学校での友人関係から、コミュニケーションや対人関係について学んでいきます。また、その過程で、いじめなどの問題が発生するのも児童期の特徴の一つでもあります。
青年期とは、12歳ころから30歳ころまでの、非常に長い期間を指します。青年期は国や文化、社会、時代背景などの要因の影響を受けます。そのため、現在の日本では、20歳はまだ学生である人も多く、就職していない、親元で暮らしているという人も多いという状態だと考えられます。また、30歳の段階で結婚・出産をしている人が9割以上ということはないと考えられます。このように、青年期は「今がどんな時代なのか?」や「どんな社会や文化の中で生活しているのか?」を如実に反映したものになります。おおよそ、この青年期と成人期の間に、私たちの「子ども時代」は終了し、徐々に大人になり、そして、親になっていくわけです。

 

3.養育とパーソナリティ形成の関係について

発達心理学の研究において、幼児期における親や養育者の対応が、その後の人間のパーソナリティ形成に大きな影響を与えることが知られています。最初にこの養育とパーソナリティ形成の関係について言及したのは精神分析の創始者であるジグムント・フロイトです。その後も、様々な心理学者・精神医学者が養育とパーソナリティ形成について論じ、親子関係と子どもの発達への影響過程が研究されてきました。その中で重要な知見の1つとして、子ども自身が持つ能力として、子どもの方から積極的に親子関係を形成していく愛着行動に注目が集まりました。愛着行動は動物行動学者のローレンツの刻印づけの研究や、発達心理学のハーローのアカゲザルの子を使った代理母親の模型による実験などがあります。また、報酬無しで愛着行動が生じることを示した比較行動学(エソロジー)的な観点から、発達心理学者のボウルビィが愛着行動を定式化しています。ボウルビィは乳児が母親への能動的な接近・接触を通して愛着の絆を形成していこうとする能力をアタッチメントとよび、そのメカニズムを明らかにしました。アタッチメントそのものは生涯にわたって変化していくものと考えられていますが、特に乳児期のアタッチメントのあり方が、幼児期から青年期にかけての発達に大きな影響を及ぼすことが指摘されています。

 

4.まとめ

このように、育児・子育てについて、心理学では様々な角度から研究が進められています。こころ検定3級でも発達心理学について概観していますので、興味・関心のある方は、是非、勉強してみていただければと思います。

 

 

著者・編集者プロフィール

この記事を執筆・編集したのはTERADA医療福祉カレッジ編集部

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