コラム

防犯の日と心理学の関係

2024.8.15 心理
  • メンタルケア心理士(R)
  • こころ検定2級
  • 犯罪心理学
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防犯と心理学には、どのような関係があるのでしょうか

 

【目次】

  1. 1.8月18日は「防犯の日」
  2. 2.犯罪心理学の経過について
  3. 3.子どもを犯罪被害から守るには
  4. 4.危険な他者(犯罪者)が嘘をついているか
  5. 5.まとめ

 

1.8月18日は「防犯の日」

日本では365日の全てに何らかの記念日が制定されています。8月18日は「防犯の日」に制定されています。これは、防犯システムの会社であるセコム株式会社が制定したものです。日付の18を「1」を「棒」に見立てて「防」とし、8を「犯」と読ませる語呂合わせです。防犯の日は、セキュリティのトップカンパニーとして社会の安全化に努めてきたセコムが企業や家庭、個人の防犯対策を毎月この日に見直して「安全・安心」に暮らしてもらいたいとの願いが込められています。

では、防犯と心理学には、どのような関係があるのでしょうか。

 

2.犯罪心理学の経過について

心理学の研究はヨーロッパからはじまり、アメリカで発展・普及し、それが日本に「輸入」される形で進められています。防犯と関連する犯罪心理学も同様の経過をたどっています。欧米では1960年代に防犯対策に強い関心が寄せられたことを受けて、犯罪心理学の中で防犯に関する研究が進められました。防犯については、個人的な対策、環境境に基づく対策、地域的対策、情報に関する対策などがあります。

 

3.子どもを犯罪被害から守るには

また、日本においては、子どもを犯罪被害から守るという観点からの防犯に関する研究も盛んです。子どもを犯罪の被害から守るためには、保護者・学校・地域社会が一体となって防犯対策に取り組む必要があります。さらには、子ども自身が他者(犯罪者)からの誘いに乗らないように、危険を察知して回避することができる能力を持っているかということも重要です。そのため、子どもは何歳くらいから他者(犯罪者)の意図を推測・把握することができるのか、という観点からの研究が実施されています。そして、危険を察知して、実際に回避する能力があるのかどうかについても研究が進められています。

 

様々な研究の結果、知らない赤の他人に道を尋ねられるといような依頼という手段がとられてしまうと、子どもは比較的簡単に誘いに乗ってしまうということが判明しています。ただし、幼稚園の年長くらいの子どもは誘いをかけてきた人物が既知か未知かで誘いに乗るかどうかの判断に違いが見られることが判明しています。さらに、小学生くらいになると、誘いをかけてきた人物がたとえよく知っている人物であったとしても、その状況の不自然さなどを正確に判断し、危険な誘いには乗らなくなることが判明しています。従って、子どもの精神発達において、向社会性や対人認知などの能力が危険を察知し、犯罪被害に巻き込まれることを防ぐことに貢献するのではないかと考えられます。危険を感得して も,回避行動まで に至らないので はないかと推測されます。

 

4.危険な他者(犯罪者)が嘘をついているか

また、子どもが犯罪被害に巻き込まれるかどうかを分ける重要なポイントとして、危険な他者(犯罪者)が嘘をついているかどうかを判断できるかどうか、という観点があります。たとえ、犯罪者であっても、あからさまにばれてしまうような嘘をつくことはないと考えらえます。そこで、どうやって発言内容の欺瞞性に気づくことができるかということが重要となります。私たち人間は他者の発言内容や発信した文章に対して、以下のような「違反」があると嘘(欺瞞性が高い)と判断することが多くなります。

 
1.量の公準の違反:必要以上もしくは以下の情報を発信する
(具体的な事柄が何も述べられていない等)

 
2.質の公準の違反:虚偽であると信じていることを発信する
(明らかに嘘だとわかるような内容等)

 
3.関係の公準の違反:無関係な事柄について発信する
(こちらからの質問に対して、無関係ないしは関係性の低い事柄の発信等)

 
4.様式の公準の違反:冗長で曖昧な表現をする
(「ちょっと、色々あって・・・」などのような曖昧な表現等)

 
こういった「ヒント」があることで、私たちは他の嘘を見抜くことができる可能性があります。ただし、これらはある程度の高度な認知能力が必要となるため、子どもには難しい場合もあります。

 

6.まとめ

このように、防犯という観点から、心理学での研究は様々な角度から実施されています。犯罪心理学だけでなく、発達心理学や社会心理学、認知心理学などでも、防犯のための知見が研究されているのです。

 

 

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この記事を執筆・編集したのはTERADA医療福祉カレッジ編集部

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