お金と心理学には、どのような関係があるのでしょうか
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日本では365日の全てに何らかの記念日が制定されています。8月29日は「おかねを学ぶ日」に制定されています。これは、株式会社ABCash Technologiesが制定したものです。『続日本記』などにおいて、日本で最初の流通貨幣である和同開珎が発行されたのが、708年の8月29日であることが、きっかけとなっています。また、2022年度から、高校の新学習指導要領で家庭科の授業において資産形成が取り入れられるなど、金融教育の必要性が高まっていることから、その活動をサポートすることも「おかねと学ぶ日」の目的の1つとなっています。
では、お金と心理学には、どのような関係があるのでしょうか。
心理学の分野の1つに、経済心理学という分野があります。経済心理学は別名、行動経済学ともよばれ、経済学とも関係の深い分野です。また、人間の選択行動や意思決定、それを応用した消費者行動などとも関連しています。また、心理学の分野の中でも、学習心理学(行動分析学)や認知心理学、社会心理学、パーソナリティ心理学などの領域とも関係があります。これは、選択行動や物事や確率に対する認識(認知)、他者との協力や競争、就職先、進学先などの意思決定、選ぶことや決めることに対するパーソナリティ(性格)の影響など、様々な心理的過程が経済心理学(行動経済学)とつながりを持っているからです。現在、経済心理学(行動経済学)の研究結果を応用し、より合理的な意思決定・選択行動に人間を導いていくということが進められており、法律や政策などにも活用されています。
また、産業・組織心理学において、消費者行動についても研究が実施されています。私たちは日々、何かを買うという購買行動をしています。つまり、私たち全員が何らかの形で“消費者”として生活しているわけです。心理学において、消費者行動とは「消費者の商品・サービスの購買・使用行動に関連する認知的な情報処理・意思決定の心理的・行動的過程全般」と定義されています。。
消費者行動に関する代表的な理論・モデルとして、 EKBモデルがあります。これは、消費者行動の中心的な意思決定プロセスを、①問題認知 ②情報探索 ③代替案評価 ④購買 ⑤成果確認 ⑥満足・不満足発生の6つの段階に分けて分析するものです。このモデルでは、消費者をマーケティング情報に受け身に反応するのではなく、自分の問題(ニーズ)を認知し積極的に情報を求めて問題を解決しようとする行動主体として捉えています。モデルには、いくつかのサブモデル(下位項目)があり、情報探索段階に対応して「情報処理プロセス」(情報接触・注目・認知・理解・受容・記憶)があり。代替案評価段階では「態度モデル」(認知・態度・行動意図)をサブシステムとして組み合わせています。EKBモデルのように、関連する心理学的・社会心理学的要因を総合的にモデル化することで、消費者の購買動機や広告効果プロセス、商品イメージ、商品ロイヤルティ形成過程などが包括的に理解することができるため、マーケティングや広告の意思決定の資料として、一般的な企業・商社などでも活用されています。消費者行動モデルには、このような消費者個人の心理・行動プロセスを扱った「個人行動モデル」のほかに、消費者を集団として捉え、集団を分析単位とした「家族意思決定モデル」や商品・サービスの「普及プロセス・モデル」などもあります。
消費者行動研究では、大規模な市場調査が行われることがあります。市場調査はマーケティング計画の意思決定に必要な情報の収集と分析作業を含むものであり、商品開発から販売にいたるマーケティング活動のステップに対応して、データを収集・分析します。そして、得られたデータに基づいて、実態把握・要因分析・動向予測・アイディア発想・問題点チェック・代替案評価・シミュレーションなどの分析が実施されます。市場調査というアプローチ自体は従来、社会学や心理学で用いられていた調査法・テスト法・実験法から発展したものが多いです。たとえば、クリッピング、オーディット、モニタリング、観察法、有識者ヒアリング、個人・集団面接、質問紙による訪問面接調査、郵送調査、電話調査、集合調査、パネル調査、実証実験などがあります。
このように、心理学ではお金に関して、様々な角度から研究が実施されているのです。
この記事を執筆・編集したのはTERADA医療福祉カレッジ編集部
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