仕事のキャリアと心理学には、どのような関係があるのでしょうか。
仕事におけるキャリアは、どのような職種・業種においても存在するものです。では、心理学において、仕事のキャリアとはどのように研究されているのでしょうか。
心理学でも特に産業・組織心理学において、仕事のキャリアは研究されています。
キャリアという用語は、専門的な仕事あるいは職業そのものに関して、特定の重要な職務を担うための資格・経歴などの意味で用いられることもあります。
より一般的には、個人の経歴あるいは相互に関連をもつ一連の経験を表現する用語して使われることがあります。
また、職業キャリアと教育キャリアとの関連として使われることもありますが、基本的には、個人が一生涯にわたって歩む職業・職務の連鎖や軌跡、職業経歴を指すのが「キャリア」という言葉なのです。
個々人のキャリアの形成過程は、経営側から見ると、組織が必要とする役割を個々人が異動してゆく軌跡と捉えることができます。
キャリア・ディベロップメント・プログラム(CDP)は、企業が必要とする人材育成のための長期にわたる組織的な異動、昇進、教育のプログラムで、人材開発と人事・労務管理が有機的に結びついたものです。
一方、労働者側から見ると、キャリアは社会や組織が提供する職業的な役割を選択し担う中で、仕事とのかかわりを通して、個々人が職業的な自己表現を充実させていく過程と捉えることができます。
キャリア・ディベロップメントは、身体的発達や社会性の発達などと同様に職業選択や適応など職業的行動の発達で、一般的には、成長期・探索期・確立期・維持期・下降期など、それぞれ異なる発達課題を持ついくつかの段階が想定されています。これらの理論や実証研究は職業指導の実践に基礎を提供するものとなっています。
仕事のキャリアは基本的に年齢や勤続年数を経ることによって発達していきます。
キャリア発達の理論には、大きく分けて2つの理論体系があります。
1つは、特性論的アプローチとよばれるものであり、各職業に適合する個人の特性を明確化するというものです。
一方で、発達段階説とは、年齢的な発達段階におけるキャリアに対する課題、心理社会的危機、次段階への影響などについて検討するものです。
これらのキャリア発達の理論の中で、代表的なものとして、心理学者のシャインが提唱したものがあります。
シャインは企業・事業所などの組織に所属する一因としてのキャリア発達という観点から、組織内キャリア発達理論を提唱しています。
仕事のキャリアについて、悩みを抱える人も多いわけですが、そんな時、キャリア・家カウンセリングに頼る場合があります。
キャリア・カウンセリングとは、カウンセラーとカウンセリィ(相談者)が相互にコミュニケーションを取りながら、カウンセリィ(相談者)の目標を明確化し、目標達成を進めていくものです。
ただし、カウンセリィ(相談者)は自己理解を深め、選択肢を把握し、キャリアを計画し、必要なスキルを習得するなどの全ての行動に対する責任を持つというルールがあります。
カウンセラーはあくまで支援・援助をするのみであり、指示・命令をするものではないというルールもあります。
このように、仕事のキャリアについては、様々な研究が実施され、色々な成果が出ているのです。
仕事のキャリアに関する内容はそれほど多くはないのですが、こころ検定1級のテキストである精神予防政策学のテキストで産業・組織心理学について概観していますので、興味・関心のある方は、是非、勉強してみていただければと思います。
この記事を執筆・編集したのはTERADA医療福祉カレッジ編集部
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