働く女性の日と心理学には、どのような関係があるのでしょうか
【目次】
日本では365日の全てに何らかの記念日が制定されています。12月22日は「働く女性の日」に制定されています。これは大阪府・吹田市で、働く女性のために機能的なバッグを製作する革バッグと革小物の企画・販売会社「manri」(マンリ)が制定したものです。12月22日は「冬至の日」であり、一年で最も夜が長い日であり、大人の日であること、そして、仕事の後もゆっくりと話せる日との思いから、この日が選ばれたとされています。この日は各地で働く女性が集まって井戸端会議をし、元気になって帰る日とすることが目的となっています。働く女性の日は2016年に一般社団法人・日本記念日協会により認定・登録されましたが、その際にクラウド・ファンディングを活用していることでも知られています。
では、働く女性の日と心理学には、どのような関係があるのでしょうか。
女性の社会進出が推進される中で、様々な法整備などが日本では実施されてきました。それは、裏を返せば、女性が社会で活躍するためには、様々なハードルがあったということを示しています。そして、そこには心理学的な要因も含まれています。まず、働く女性のための法律として代表的なのが、男女雇用機会均等法です。男女雇用機会均等法とは、性別を理由とする差別を禁止した法律であり、1985年に制定されました。男女雇用機会均等法では、事業所に雇用されて働く従業員が性別を理由にして差別を受けることがないよう、男女間の格差をなくし、個々人が十分に能力を発揮できる雇用環境を整備するための法律となっています。ちなみに、男女雇用機会均等法は通称であり、正式名称は「雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等に関する法律」となっています。
男女雇用機会均等法は何度か改正が行われていますが、心理学やメンタルへルスに関連する改正として、1999年の改正が挙げられます。この改正でセクシャル・ハラスメントに対する事業主の配慮義務が明文化されました。さらに、この法規制において、性的な言動に対する女性労働者の対応により、女性労働者がその労働条件につき不利益を受けることを対価型セクハラと定義し、的な言動により、女性労働者の就業環境が害されることが環境型セクハラと定義されました。
同じく、1999年の改正において、いわゆる「マタニティ・ハラスメント」に関する禁止事項も追加されました。ただし、この時点では「マタニティ・ハラスメント」という言葉自体や概念はまだ存在しておらず、妊娠・出産を理由とした女性労働者の差別を禁止するという概要だけが存在していました(※マタニティ・ハラスメントという用語・概念が誕生したのは2014年であるとされています)。そして、2017年に男女雇用機会均等法および育児・介護休業法が改正されたことで、マタニティ・ハラスメントが発生した場合に、事業者に措置義務が課されることとなりました。
このように、何度かの法改正などを経て、女性労働者に対する差別等を禁止する制度が確立されていったわけです。そして、ハラスメントはメンタルへルスにも関連が深いものであり、仕事に関するストレスや退職・休職の大きな要因の1つに位置づけられています。2015年に義務化されたストレスチェック制度において実施が推奨されている職業性ストレス簡易調査票においても、80問・120問のバージョンにはハラスメントに関する質問項目が含まれています。ただし、ストレスチェックにおけるハラスメントはセクハラ・マタハラに限定せず、全てのハラスメントをその対象としています。
ハラスメントは身体的なものだけでなく、精神的なものも含むものであり、ハラスメントが原因での休職・退職・精神疾患の発症、最悪の場合、自殺という可能性もあります。そのため、職場のメンタルへルス対策の一環として、ハラスメント対策の実施は非常に重要であり、より多くの職場でしっかりとした対策を講じることが求められています。
この記事を執筆・編集したのはTERADA医療福祉カレッジ編集部
「つぶやきコラム」は、医療・福祉・心理学・メンタルケアの通信教育スクール「TERADA医療福祉カレッジ」が運営するメディアです。
医療・福祉・心理学・メンタルケア・メンタルヘルスに興味がある、調べたいことがある、学んでみたい人のために、学びを考えるうえで役立つ情報をお届けしています。