コラム

世界野生生物の日と心理学の関係

2025.3.13 心理
  • 動物心理学
  • 心理

世界野生生物の日と心理学には、どのような関係があるのでしょうか

 

【目次】

  1. 1.3月3日は「世界野生生物の日」
  2. 2.「動物に心があるのか?」動物心理学について
  3. 3.まとめ

 

1.3月3日は「世界野生生物の日」

日本では365日の全てに何らかの記念日が制定されています。3月3日は「世界野生生物の日」に制定されています。また、この日は日本だけでなく世界全体で記念日として制定されており、2013年に国連総会で採択された国際デーの1つです。なお、世界野生生物の日は「絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約」であるワシントン条約が1948年3月3日に採択されたことを記念したものでもあります。ワシントン条約とは、野生動植物の国際取引が乱獲を招き、種の存続が脅かされることがないよう、取引の規制を図る条約です。輸出国と輸入国が協力し、絶滅が危ぶまれる野生動植物の国際的な取引を規制することにより、これらの動植物の保護を図っています。この条約には183ヵ国が加盟しており、約30,000種の動物が取引制限の対象となっています。

 

世界野生生物の日は経済的・文化的に重要な野生動植物の保護の取組の強化が目的とし、地球上に生息する、あらゆる野生生物に対する保護や生物の多様性について考える日となっています。世界野生生物の日には、日本において全国の動物園・植物園でイベントが開催され、経済産業省・環境省が野生生物の取引規制に関する普及啓発のパネルを作成し、動物園・植物園で開催されるイベントなどで掲示しています。

 

では、世界野生生物の日と心理学には、どのような関係があるのでしょうか。

 

2.「動物に心があるのか?」動物心理学について

心理学には動物心理学という分野があります。「動物に心があるのか?」と思われるかもしれませんが、人間と同様に動物にも知覚・認知・生理・行動があり、周囲の環境の変化などに対して、適応的に振る舞おうとするという点では共通しています。そして、動物も子どもから大人へと成長する過程で精神発達するため発達心理学の要素があり、群れで行動する動物には社会性があるため、社会心理学の要素もあります。このように、心理学における動物行動の発生・変容・獲得・発達などの研究を総称して動物心理学とよびます。広義には、人間以外の動物を対象としていますが、人間と動物の行動を比較する研究も多く、比較心理学や比較行動学とほぼ同じ意味で用いられています。

 

動物心理学では、動物を対象として研究しますが、動物と自然を尊重した対応をしています。長い進化の過程で動物が生活してきた自然の生活場面に研究者はたとえ研究のためであっても、できるだけ手を加えず、彼らの行動を詳細に観察する(自然観察)ことをモットーとしています。そして、自然観察から得られた行動に基づいて、遺伝的に決められた種に固有の行動様式である固定的行動型に特に注目してエソグラム(行動目録)を作成し、行動を分類・分析します。このような手続により、動物がなぜそのような行動を行うか、その行動が個体と種の生活や適応にいかに役立っているか、その行動がどのように発達してきた、などを調査します。また、ある行動を取り上げて、様々な動物について系統発生的に比較検討することにより行動発現の機構を明らかにしようとするのが動物心理学なのです。
動物心理学はホイットマンやハインロート、クレーグらが最初に研究分野として確立させ、その後、ローレンツやティンベルヘンらが発展させました。ローレンツとティンベルヘン、そしてフリッシュの3名は新しい研究分野としての動物心理学を発展させた功績により、1973年にノーベル生理学医学賞を受賞しています。なお、前田嘉明が第二次大戦後にローレンツの研究室を訪問した後、帰国後に動物心理学を日本に紹介したことで広まっていきました。

 

3.まとめ

このように、心理学では人間以外の動物も対象とした研究が実施されています。また、日本には、日本動物心理学会という学術団体も設立されており、研究活動が進められています。

 

 

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この記事を執筆・編集したのはTERADA医療福祉カレッジ編集部

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