心理学・カウンセリング・メンタルケアの専門家には、5月生まれの著名な先生方がいます。
▶ジークムント・フロイト(ジグムント・フロイト)
1856年5月6日生まれのオーストリアの心理学・カウンセリング・メンタルケアの専門家であるジークムント・フロイト(ジグムント・フロイト)は精神分析の創始者として有名ですが、それ以上に神経科学や脳科学の専門家としても大きな功績を残しています。
それは、フロイトの学歴や職歴からもよく分かります。
フロイトはオーストリアのウィーン大学で心理学者のブレンターノと生理学者のブリュッケの下で学び、まず、医学博士の学位を取得しています。
そして、心理学と生理学、そして医学の知識を活かし、神経科学の専門家としてのキャリアをスタートさせました。
フロイトは神経科学の分野で多数の研究業績を残しています。
フロイトの名前を聞くと、多くの人が心理カウンセラーや精神科医というイメージが沸くと思いますが、科学者(心理学者)としての活動がフロイトの基盤となっているのです。
これは、心理カウンセラーは科学者でなければならないという科学者-実践者モデルに沿ったものでもあり、100年以上前の時点で、フロイトは既に心理学者としての知識をベースに心理カウンセラー(精神科医)としての実践活動に従事していたのです。
フロイトがその後に精神分析の確立などの功績を挙げることができたのは、まず、大学で基礎心理学の知識を身につけ、研究者として博士号の学位を取得するという基礎知識や研究を重視した学歴があったからです。
フロイトは心理学と生理学を学び、医学博士の学位を取得した後、フランスのパリで精神科医のシャルコーが実施していた催眠の研究に参加したことから、催眠に強い関心を持つようになりました。
そして、催眠を精神疾患の治療に利用することができるのではないかと考えました。
特に当時、ヒステリーとよばれていた神経症の治療に催眠を応用することに力を注ぎました。
しかし、研究や実践の結果、催眠だけではヒステリーや神経症の治療には不十分であることが判明したことで、フロイトは無意識や性的葛藤、抑圧などに注目し、精神分析療法を確立し、多くの弟子を育成し、国際精神分析学会の発足に貢献したのです。
弟子の中には、後に分析心理学や元型(アーキタイプ)という概念を創始したユングなどがいます。
また、厳密には弟子ではありませんが、ジークムント・フロイト(ジグムント・フロイト)の末娘のアンナ・フロイトも精神医学の道に進んでいます。
アンナ・フロイトは当初、教育学を専攻し、日本でいうところの小学校教諭の資格を取得しています。
その後、父親と同じウィーンで精神分析の専門家としてのキャリアをスタートさせました。
アンナ・フロイトは、特に防衛機制の研究に従事しました。
そして、小学校教諭としての児童教育に関する知見を精神分析に分野にも応用し、児童分析という新たな分野を確立させました。
加えて、遊戯療法の確立にも大きな貢献をしています。
このように、ジークムント・フロイト(ジグムント・フロイト)は心理学・精神医学・神経科学の専門家として、新たな学問領域の確立だけではなく、学術団体の設立や、後進の教育など、様々な分野で活動していました。
ただし、当時も現在も、精神分析療法には様々な問題点が指摘されています。
現在、心理的支援の現場において、精神分析療法は治療の第一選択肢ではなくなっています。
しかし、精神分析は精神医学において重要なターニングポイントの1つであり、クライエントと対峙してコミュニケーションを取るという手法を最初に使用した手法として大きな意味があります。
そのため、精神分析は精神医学における第2の革命に位置付けられているのです。
この記事を執筆・編集したのはTERADA医療福祉カレッジ編集部
「つぶやきコラム」は、医療・福祉・心理学・メンタルケアの通信教育スクール「TERADA医療福祉カレッジ」が運営するメディアです。
医療・福祉・心理学・メンタルケア・メンタルヘルスに興味がある、調べたいことがある、学んでみたい人のために、学びを考えるうえで役立つ情報をお届けしています。