パーソナリティ障害は、かつて人格障害とよばれていましたが、DSM-5以降は基本的にはパーソナリティ障害で名称が統一されています。
パーソナリティ障害が他の精神疾患と比較して大きく異なる点として、明確な発症時期の確認が難しいということが挙げられます。
パーソナリティは性格・人格に関する様々な事柄を含むものであり、遺伝的要因の影響も強いものです。
従って、各種パーソナリティ障害は10代後半になって“確認”されるものであり、発症するというニュアンスとは異なるものとなっています。
パーソナリティ障害は思考・判断や行動が特徴的で、パーソナリティ心理学や精神医学の研究において明らかとなった健康な人のパーソナリティとはズレが生じており、そのことで周囲の人々や本人が悩む状態であることが規定されています。
パーソナリティ障害は大きく3つの区分と10種類の以下のような分類があります。
(1)A群(クラスターA):言動が奇妙で風変わりであるという特徴を持つ
① 猜疑性パーソナリティ障害
② シゾイドパーソナリティ障害
③ 統合失調型パーソナリティ障害
(2)B群(クラスターB):感情の激しさ・不安定さを特徴として持つ
④ 反社会性パーソナリティ障害
⑤ 境界性パーソナリティ障害
⑥ 演技性パーソナリティ障害
⑦ 自己愛性パーソナリティ障害
(3)C群(クラスターC):過剰な不安感(心配)を特徴として持つ
⑧ 回避性パーソナリティ障害
⑨ 依存性パーソナリティ障害
⑩ 強迫性パーソナリティ障害
上記はDSMの登場によって明確化された分類です。
それ以前にも、いわゆる、パーソナリティ障害に関する研究は実施されていましたが、その当時は精神病質とよばれていました。
精神病質について研究したシュナイダーは、平均的像という意味で定義される正常なパーソナリティ(人格)からの逸脱した状態で、そのパーソナリティのために本人または社会が悩むものを精神病質とし、発揚・抑うつ・自信欠乏・熱狂・顕示・気分変動・爆発・情性欠如・意志欠如などに分類しました。
この考え方は、現在のパーソナリティ障害の概念にも転用されています。
パーソナリティ障害では「健康な人のパーソナリティとはズレが生じており、そのことで周囲の人々や本人が悩む状態」や「平均的像という意味で定義される正常なパーソナリティ(人格)からの逸脱した状態で、そのパーソナリティのために本人または社会が悩む」ということが規定されています。
最新のDSM-5でも同様の考え方をしますが「その人の属する文化から期待されるものより著しく偏った、内的体験および行動の持続的様式」という表現となっています。
そして、この「著しく偏った、内的体験および行動の持続的様式」とは、以下のようなものを指し、これらが2つ以上の領域(家庭と学校、職場など)で示されることが特徴となります。
1)認知(すなわち、自己、他者、および出来事を知覚し解釈する仕方)
2)感情性(すなわち、情動反応の範囲、強さ、不安定さ、および適切さ)
3)対人関係機能
4)衝動の制御
また、これらの持続的様式は、柔軟性がなく、個人的および社会的状況の幅広い範囲に広がっています。
そして、これらの持続的様式は、臨床的に意味のある苦痛、または社会的、職業的、または他の重要な領域における機能の障害を引き起こしており、安定していて、長時間続いており、その始まりは少なくとも青年期または成人期早期における機能の障害となって現れるとされています。
問題となるパーソナリティ特性については、時間的にも長期間持続(人生の大半)し、発症時期(明確に確認される次期)は青年期~成人期早期(17~24歳ころ)であるとされています。
この記事を執筆・編集したのはTERADA医療福祉カレッジ編集部 「つぶやきコラム」は、医療・福祉・心理学・メンタルケアの通信教育スクール「TERADA医療福祉カレッジ」が運営するメディアです。 医療・福祉・心理学・メンタルケア・メンタルヘルスに興味がある、調べたいことがある、学んでみたい人のために、学びを考えるうえで役立つ情報をお届けしています。