リハビリテーションとは、心理学において、自立性やウェル・ビーイング(主観的幸福感)をできる限り最大限に回復させる過程であると定義されています。
また、心身の不調や障害を抱えた人の機能水準を最大限に回復させる過程であるとされています。
たとえば、脳卒中により各種認知機能や身体機能に障害が発生した場合、その機能が100%元の状態に戻ることは困難です。
そこで、リハビリテーションによって、失われた機能を可能な限り回復し、日常生活をある程度円滑に進めることや、入院などの状態からの社会復帰を目指します。
リハビリテーション医学という分野がありますが、これは、人間の持つ身体的・心理的・認知的・社会的・職業的・教育的な潜在能力を最大限発揮させることを専門とした分野です。
このリハビリテーション医学に関する研究を実施する専門家の団体が、日本リハビリテーション医学会です。
日本リハビリテーション医学会は1963年9月に学術学会として創設され、2017年時点で54年の歴史があります。
学会機関誌であるリハビリテーション医学などを刊行したり、専門医制度、認定医制度などを確立し、精力的な活動を実施しています。
今年は第54回大会が開催予定となっており、「エビデンスに基づく地域包括ケアシステムの推進」というテーマで研究成果の発表や各種シンポジウムやワークショップが催されることになっています。
また、リハビリテーション心理職会は主に臨床心理士を中心とした心理カウンセラー資格取得者がリハビリテーションの現場で活動することが増えてきたことに合わせて、専門家同士で日々の活動に関する情報交換・交流・スキルアップの場として設立されたものです。
リハビリテーションに関する心理学的知見は、リハビリテーション心理学という名称で1つの領域として確立されています。
リハビリテーション心理学とは、障害や慢性疾患の研究・予防・治療・支援に対して、心理学的知見と理解を適用することに特化した心理学の専門分野です。
リハビリテーションに関連する要因には、生物的要因、心理的要因、社会的要因、環境的要因、政治的要因など多岐にわたりますが、専門家はこれらを全て考慮に入れた上で、対象者が最適な心身と対人関係機能を持つことができるようにサポートすることが必要になります。
日本リハビリテーション医学会では、脳血管障害・外傷性脳損傷・精神発達遅滞・自閉症・様々な慢性的な身体疾患に対して、心理専門職の支援が必要であるとしています。
リハビリテーションの現場において、心理専門職に求められるのは、心理アセスメント、認知機能に関するリハビリテーション、面接(カウンセリング)、問題の改善・解決であるとされています。
特に現在、リハビリテーションの現場で注目を集めているのは、高次脳機能障害の患者に対するサポートです。
高次脳機能障害とは、知覚・記憶・学習・思考・判断などの認知と感情・行動を含めた幅広い機能が病気や事故などによる脳損傷により障害が発生している状態を指します。
より具体的に高次脳機能障害には、注意障害・記憶障害・失認(視覚・聴覚など)・失行・失語・半側空間無視・半側身体失認・地誌的障害・遂行機能障害・行為障害・感情障害などがあります。
これらの障害・症状による機能不全の問題に対して、心理学的な知見を応用するリハビリテーション心理学が活用されています。
科学的根拠に基づいた適切な訓練・トレーニング・リハビリを実施することで、早期の社会復帰や適応的な日常生活の遂行が可能となるわけです。
この記事を執筆・編集したのはTERADA医療福祉カレッジ編集部
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